研究課題/領域番号 |
21K02322
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研究機関 | 九州ルーテル学院大学 |
研究代表者 |
三井 真紀 九州ルーテル学院大学, 人文学部, 准教授 (80342252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保育 / 幼児教育 / フィンランド / 多文化保育 / 多文化共生 / まなざし |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、フィンランドの保育空間の分析を通し、乳幼児(0~6歳)からはじまる多文化共生の原理について総合的に読み解くことである。とりわけ、保育における「学び」「政策」および「まなざし」の関係性に着目する。 多文化化するフィンランドで、乳幼児がいかにして他者と関係形成していくのか、保育者のありようは行為を生成させるのかを、エスノグラフィーの手法によって分析し、保育空間から始まる多文化共生の原理を、保育社会学の視点で解き明かす。家族や集団と営む生活文化を、乳幼児がどのように内面化していくのかを検討することは、ひいては日本で育つ文化的背景の多様な子どもへの支援につながるものである。 初年度は、フィンランドにおける保育の実態把握(基礎資料の収集)を中心にフィンランドの保育における、最新の基礎的資料を整理し、保育と共生についての系譜をたどることを目指した。 初年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現地調査は叶わなかったが、現地とのネットワークを活用し、研究を進めることが実現した。保育者、保護者、市職員らにEメールやZoomを活用した聞き取り調査をおこない、コロナ禍における保育と政策の全体像を確認することができた。同時進行で、移民コミュニティーに関与をはじめ、現在までに、調査に必要な子育て支援グループと補習校への個別的な調査手続きを整えている。 また、過去の現地調査でのデータを改めて整理しながら、学会における研究発表3件と投稿論文3本による研究報告を行い、次年度への準備を万全にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症感染拡大の影響を受け、2021年9月および2022年3月に予定していた現地調査を実施できなかった。 保育所の参与観察や移民コミュニティーへの関与は、次年度以降に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
多文化保育空間に存在する「支配関係の芽生え」「多言語家庭の生活困難」「宗 教的背景の理解」等の課題克服は、個人や指導者の能力のみの問題ではない。保育 文化の文脈を理解し、社会学的に議論する必要があると考えている。 本研究は、日本の保育と共生の実態を理解しながら、フィンランドの保育空間を、論理的かつ実証的に分析する研究である。 過去の保育学研究で見落とされていた、研究の空白部分を埋める役割を果たせると考えてい る。そのために、できるだけ早く、現地調査を開始し、課題遂行を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため本研究の根幹である海外調査が中止されたため。
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