研究課題/領域番号 |
21K02333
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
亀崎 美沙子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60459592)
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研究分担者 |
中谷 奈津子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00440644)
鶴 宏史 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (80411932)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 倫理的ジレンマ / NAEYC / 倫理的責任 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、保育において「子どもの最善の利益」を保障するために、国内外の倫理的ジレンマの収集・分析を行い、保育における倫理的意思決定モデルを構築することである。2021年度は、国外調査の実施を見送り、以下の2点に取り組んだ。 1.アメリカにおける保育者の倫理的ジレンマの分析 国内の倫理的ジレンマ調査の実施に向けて、アメリカにおける倫理的ジレンマ事例の分析を行った。全米乳幼児教育協会(以下、NAEYC)の発行する専門誌“Young Children(以下、YC)”に掲載される倫理的ジレンマ事例の分析を行った。全18件の該当事例について、①対立する倫理的責任、②倫理的ジレンマの内容の2つの視点から分析を行った。その結果、アメリカの保育者の直面している倫理的ジレンマは、子どもと家族に対する倫理的責任の対立によって生じるものが大半を占めており、わが国における子育て支援の葛藤(亀﨑2021)と同様の傾向があることがうかがえた。本研究成果は2022年5月に日本保育学会において発表予定である。 2.NAEYC倫理綱領ガイドブックの翻訳 倫理的ジレンマ事例集の作成に向けて、倫理的ジレンマの先進国であるアメリカのNAEYC倫理綱領およびそのガイドブックである“ Ethics and the Early Childhood Educator”の翻訳に取り組んだ。その成果として、アメリカにおいて保育者の専門職倫理が必要とされた経緯や、NAEYC倫理綱領の内容、NAEYC倫理綱領の活用方法を詳細に理解することができた。 以上の研究成果によって、わが国の保育者が直面している倫理的ジレンマに関する仮説を得ることができた。これらの研究成果をもとに、次年度は国内の保育者を対象とした倫理的ジレンマに関するインタビュー調査を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、国外調査の実施を見送り、研究計画を一部変更したが、アメリカの保育者の直面する倫理的ジレンマの分析およびNAEYC倫理綱領ガイドブックの翻訳については、計画通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、倫理的ジレンマガイドブックの作成に向けて、国内の保育者を対象としたインタビュー調査を実施予定である。あわせて、NAEYC倫理綱領ガイドブックの翻訳に引き続き取り組む予定である。 なお、当初の研究計画ではデンマークにおける調査を予定していたが、社会情勢を踏まえ、実施可能性を判断する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、2021年度に実施予定であった国外調査を見送った。そのため、国外調査費用を使用することができず、次年度使用額が発生した。 次年度以降に調査の実施が可能となった場合には、調査費用に充てる予定である。また、調査実施が困難な場合は、海外文献調査に変更し、これらの費用を海外文献および翻訳料に充当する。
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