研究課題/領域番号 |
21K02347
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
井上 清美 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (30517305)
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研究分担者 |
堀 聡子 東京福祉大学短期大学部, こども学科, 講師 (10734965)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 多職種 / 連携 / 協働 / 保育者 / 負担感 / 役割開放 |
研究実績の概要 |
1. 日本保育学会第76回大会の自主シンポジウム「子育て支援の多職種連携協働-様々な人がつながるために何が必要か」を行なった(2023年5月オンライン開催)。第一報告は堀聡子氏「産前産後の支援における多職種連携」、第二報告は勝山幸氏「利用者支援事業と多職種連携」、第三報告は中谷桃子氏「サービスデザインにおける多様な当事者の共創」である。指定討論者の中谷奈津子氏から論点が提示され、保育・子育て支援領域の多職種連携に関心を持つ研究者や実践家が参加し、情報共有や意見交換が行われた。 2. 地域子育て支援の従事者に対し、ヒアリングを実施した。地域子育て支援センターが連携している機関や団体、また、連携の必要を感じている機関や団体をあげてもらい、連携の状況や連携を困難にしている要因等について情報を得た。また、自主シンポジウムの中で提示された「支援者―被支援者という関係性ではなく、被支援者をアクターの一人として位置付ける必要がある」との論点にもとづき、事例を収集した。 3. 2024年度は「子育て支援の多職種連携」に関するアンケート調査の実施に向けて準備を進めた。調査対象者は保育所および地域子育て支援センターの職員であり、質問項目は以下の通りである。職種や保有している資格、職務状況、多職種連携の状況評価、多職種連携の負担感、多職種連携の必要度や現状、職務負担感、対象者の属性、家族や子育てに関する意識、多職種連携に関する自由記述。多職種連携の状況評価は、医療福祉領域における多職種連携の状況を評価する尺度(藤井 2019)を使用し、保育や子育て支援の領域に合うよう、一部文章を変更した。以上の計画および調査内容は、東京家政学院大学倫理審査委員会の審査を経て、2024年3月に承認を得た。調査票の配布は2024年6月の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、保育者や子育て支援従事者の業務内容や時間、負担感を明らかにし、それを軽減するための多職種連携共同モデルを開発することである。研究が構想された当初の計画では、以下の2つの量的調査を行う予定であった。第一に、保育者の抱える子育て支援業務の量的把握であり、在園児の家庭、地域の家庭に対する支援業務について、労働時間や負担感等を明らかにすることを狙いとしていた。第二に、子育て支援における多職種連携協働の実態や連携協働の促進および阻害要因を明らかにするための調査である。2023年度に行った探索的インタビュー調査の結果にもとづき、第二の調査対象者を保育所および子育て支援センターに限定したことにより、2つの調査を統合して実施することとした。研究代表者の勤務地が変更になったことにより、予定していた地域での調査が難しくなり、調査依頼が遅延していたが、新しい勤務地での調査依頼も進み、2024年度の前半には調査を完了する見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は「子育て支援の多職種連携」に関するアンケート調査を実施し、データを収集する。調査票は2024年の6月に配布し、7月に回収する予定である。8月にはデータクリーニング等を行い、8月から9月にかけて分析を進める。分析結果は論文としてまとめ、学術雑誌に投稿する。2024年度も引き続き「子育て支援における多職種連携協働(IPW)研究会」を定期的に開催し、子育て支援における多職種連携協働の課題や促進、抑制要因について議論、検討を重ねる。以上により得られた研究成果を報告書としてまとめ、学会やシンポジウムで公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に使用する予定であった調査にかかる費用について、2023年度中に実施することができなかった。すでに調査実施の準備は完了しており、2024年6月には調査票を配布する予定である。調査にかかる費用も2024年度前半に使用する見込みである。
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