研究課題/領域番号 |
21K02353
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
冨樫 健二 三重大学, 教育学部, 教授 (10227564)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肥満小児 / 長期予後 / 性差 / 生活習慣病 |
研究実績の概要 |
令和3年(2021年)度は肥満小児の予後調査を実施するためのデータベースを構築した。1976年から保存してある診療情報より初診時年齢5歳以上19歳未満、初診時の肥満度20%以上、2021年現在の推定年齢が18歳以上の1,806名(男性1,072名、女性734名)を抽出し、氏名、性別、生年月日、初診時の年齢、周産期を含む形態、体組成、腹部CT情報、血液生化学値、住所等の情報を入力した。 初診時の平均年齢は9.8±2.2歳、生年月日から計算した現在の年齢は37.4歳と推定された。初診時の平均身長、体重、肥満度はそれぞれ141.1±12.7cm、52.6±16.5kg、45.5±18.6%の肥満小児であり、平均出生体重は3212±461.7kgであった。平成6年より体組成、腹部CT撮影が行われており、平均体脂肪率、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積、ウエスト径は32.4±7.8%、207.9±79.2cm2、35.2±22.5cm2、83.4±13.0cmであった。 初診時の血液生化学について、AST、ALT、血清尿酸値、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDL-コレステロール(Freidewald法)、non HDLコレステロールは、それぞれ26.1±16.1IU/L、29.3±32.5IU/L、128.8±85.9mg/dL、52.2±12.2mg/dL、110.3±35.0mg/dL、133.7±44.7mg/dLであった。 肥満度と腹部脂肪面積、血液生化学値は有意な相関関係を示し、小児期であっても肥満の程度が高い者ほど内臓脂肪の蓄積は多く、また、血液生化学値の異常も多数認められ成人期における生活習慣病のリスクも高いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、過去の診療情報をもとにした約1800名の予後調査用データベースが構築できており概ね予定どおり進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は予後調査のための調査紙を作成し、郵送・回収する。調査紙の内容はこれまで作成したものをベースとし、現在の体型について(身長、体重等)、過去・現在の身体活動状況、食事・栄養調査、健康関連調査、現在の生活習慣病罹患状況、再来院を希望する場合の連絡先などとする。 なお、調査紙の回収率を高めるため返信がない場合には複数回督促を行う。有効回収率は35%程度を目標とする。返信結果をもとに小児期の情報と成人期の情報を対応付け、小児期における肥満と成人期で得られた情報に関する解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は予後調査対象者に調査紙を送付・回収する予定であり、回収率を高めるために調査紙返送者に対しては粗品を提供する予定である。その予算が想定より多くなる可能性があったため次年度使用額として繰り越した。
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