本研究では、小児期に肥満を呈していた者を対象とし、成人期に調査紙、もしくは直接的な臨床検査を実施し、小児期の肥満が成人期の生活習慣病リスクに及ぼす影響を検討した。小児期に肥満の程度が高い者ほど、成人期に肥満を呈する確率は高く、特に小児期の高度肥満者の8割が成人期に肥満を呈していた。一方、成人期に肥満を解消すると内臓脂肪面積や血液生化学値も正常範囲内にとどまったのに対し、肥満を継続した者では生活習慣病のリスクが高い状態にあった。このように直接的に個人の小児期と成人期の情報を結びつけて生活習慣病リスクを検討した報告は国内外でも稀であり、小児期の肥満に対し早期に対応する意義を示すものである。
|