研究課題/領域番号 |
21K02356
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
野口 彩香 香川大学, 医学部, 技術補佐員 (40849288)
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研究分担者 |
諸隈 誠一 九州大学, 医学研究院, 教授 (50380639)
奥野 晶子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (70848944)
石川 哲朗 国立研究開発法人理化学研究所, 情報統合本部, 客員主管研究員 (90824160)
渡部 基信 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (30649306)
小西 行彦 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60528157)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生体リズム / ASD / 睡眠 / 胎児 / 発達 / 縦断研究 |
研究実績の概要 |
この研究は本仮説『機能リズム障害としての自閉症スペクトラム症/障害(ASD)』に基づいてASD病態の解析を目的としている。これまで我々は胎児期から睡眠、内分泌、心拍等の測定、生後1歳までの質問紙や睡眠ログを実施しデータを縦断的に収集してきた。本研究では、更にASDの診断が可能になる3歳にて、発達や睡眠に関するデータを集め、生体リズムと発達の関連を機械学習などよる網羅的時系列特徴量解析や数理モデリングによる因果性推定に基づき、仮説を検証する。またオンライン調査は対象者の実際の行動を観察してASDの診断に役立つ方法の構築を目的としている。 本年度は我々の縦断研究の対象者に対し、3歳での児の発達や睡眠に関する調査票と睡眠ログのデータ収集が完了した。収集したデータは同志社大学赤ちゃん学研究センターにて集約され3歳までのデータセットが作成された。 香川大学では更に2歳の時点で児の発達や睡眠ログのデータも追加で収集された。また、オンラインでの発達検査を行うため、香川大学医学部附属病院に通院する2,3歳児に対し、オフラインとオンライン場面で発達検査を行い、参加者の反応の比較やオンライン調査実施を行った。来年度は同志社大学赤ちゃん学研究センターでも実施予定である。 データ解析においては、胎児から1歳までのデータを用い、ASDリスク因子の網羅的探索と因子間の相互関係について検討し、各因子のASD傾向予測に対する寄与度を解析し、学会発表と論文の投稿を行った。睡眠ログの解析においても別プロジェクトでも収集された睡眠ログデータを用いて、乳幼児の睡眠パターン、年齢・正常発達に応じた変化を捉え描画する、睡眠を層別化し定量的・客観的評価を可能にする新たな解析手法を開発した。今後は3歳までのデータセットを用い、発達障害などのアウトカムと睡眠パターンとの関連を抽出するためのデータ解析をさらに進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、引き続き各連携機関にて生後3年を迎えた対象者に歳調査票と睡眠ログに回答をしてもらいデータ収集が完了した。香川大学では、更に生後2年を迎えた対象者に調査票と睡眠ログも実施した。収集したデータは同志社大学赤ちゃん学研究センターにて集約され、データセットが完成した。今後は胎児から生後3年までのデータセットを作成し解析を行う予定である。 本研究では調査票以外に、オンライン調査にて実際の対象者の行動を観察してASDの診断に役立つ方法の構築を目的としている。2023年度は発達障害の特徴がよく見られると思われる項目を新版K式発達検査の中から選び、オンライン版での実施手続きを見直し香川大学にて3歳児のお子さん対象にオフラインとオンラインで実施している。引き続き同志社大学赤ちゃん学研究センターでも健常児を対象に同様の調査を実施し、オンライン調査での妥当性を検証していく。 縦断研究で得たデータの解析に関して、胎児から生後1歳までのデータを用い、ASDリスク因子の網羅的探索と因子間の相互関係について検討し、各因子のASD傾向予測に対する寄与度を解析し、その結果をまとめて論文を投稿中である。睡眠ログの解析については、別プロジェクトでも収集された睡眠ログデータを用いて、乳幼児の睡眠パターン、年齢・正常発達に応じた変化を捉え描画する、睡眠を層別化し定量的・客観的評価を可能にする解析手法を開発した。今後は、これらの解析手法で得た学習データを胎児発達研究で収集した3年時点での睡眠ログデータや適応し、発達障害などのアウトカムと睡眠パターンとの関連を抽出することを目的に解析を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
生後3歳までの縦断データの収集は完了したため、来年度はこれまで得た解析手法を用いてこれらの解析を進めていく。 オンライン調査については、香川大学でのみ発達が気になる児に対するオフラインとオンラインでの行動の比較を目的として、来院していただきK式発達検査を行っていた。通院する児が対象ということもあり、サンプルの偏りや十分なデータ数が集まらない可能性が考えられるため、香川大学医学部附属病院に通院する3歳児や同志社大学赤ちゃん学研究センターでも調査を実施する。そして通院する児だけでなく健常児に対してもオンラインとオフラインで発達検査を行った際、違いがあるのかといったASDの指標となる行動などを模索し、オンラインでの発達検査の妥当性を検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、当初の予定よりもオンライン実験への参加者への謝金が少なかったことに加え、学会参加等にかかる旅費も予定よりも少なかったことにより、繰越が生じている。次年度のオンライン実験参加者への謝金、学会発表にかかる旅費として使用する予定である。
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