本研究の目的は,発達障害児の母親が養育上どのような問題を抱え,具体的にどのような支援を必要としているかを明らかにし,それらを明らかにすることで,養育支援方法の開発や作業療法介入の手がかりを導き出し,地域生活における発達障害児およびその母親への支援の充実へつなげることである。方法は,鹿児島県内の児童発達支援事業所を利用する1~6 歳の子どもの母親を対象に,選択式および自由記述式の質問紙によるアンケート調査を行う。調査内容は,①基礎情報(子どもの年齢,性別,診断の有無と診断名,診断を受けた時期,母親の年齢,子どもの数,就労状況),②養育に関する情報(子どもに見られる問題行動,親としての困り事,ソーシャルサポート),③利用する事業所に関する情報(利用開始時期,利用するきっかけ,利用目的,利用しての変化点など),④医療関連職に関する情報(各医療関連職の利用度,必要度),⑤支援に関する情報(現在必要としている支援,今後必要となると考える支援)である。 2023年度は新たに6か所の児童発達支援事業所に調査を実施した。全体としては10か所の児童発達支援事業所(母親136名)に調査を実施することができ,それらをもとに分析を行った。結論としては,母親の養育上のストレスは全体的にはそれほど強くは感じていないが,母親によっては強い負担を感じていた。特に子どものかんしゃくやこだわりなどの行動が養育する上で影響を与えていると考えられた。また,母親は児童発達支援事業所に通うことでの子どもの肯定的な変化を強く感じており,特に「子どもとの関わり方」「他児との関わり」「保護者同士の交流」の有用性が高かった。医療関連職への必要性は母親の70%以上が必要と感じており,特に作業療法士には,「体・手の動き」「生活動作」「子どもの特性」についての助言や支援を必要としていた。
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