研究課題/領域番号 |
21K02369
|
研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
佐野 美奈 常葉大学, 保育学部, 教授 (00341785)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 音楽的表現 / 幼児 / 眼球運動 / アイトラッキング / 動作解析 / 3Dモーションキャプチャー / 定量的分析 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
2021年度は研究1年目であり、幼稚園児について、音楽的表現時のアイトラッキングを行った。特に、幼児の歌唱時における眼球運動について、saccade(急速眼球運動)の取得データに関して定量的分析を行った。 2か所の幼稚園(n=60)で、アイトラッカー(Tobii3)を用いた3歳児、4歳児、5歳児の歌唱時のアイトラッキングを行った。Tobii Proアナライザ(分析ソフト)を用いた解析により、曲目による視線の動きの特徴的差異が見出された。saccade(急速眼球運動)の発生回数、大きさ、移動平均速度、総移動距離などの算出データについて、三元配置分散分析、および二元配置分散分析による定量的分析を行った。結果として、前年度の測定結果 (n=58)も合わせた2年間の取得データの増加によって、幼児の音楽的表現時のsaccadeは、長調が短調よりも大きい傾向にあり、モンテッソーリメソッドの保育形態の幼稚園で顕著であることがわかった。歌唱に用いた曲の特徴についてMatlabによる分析も行った。幼児の音楽的表現時の眼球運動であるsaccadeに関する算出データから、動作解析結果に基づく動作特徴量と同様に、機械学習のための有効な動作特徴量を抽出できることが予測された。 このアイトラッキングに関する調査分析結果を、論文などにより公表した。また、これまでの3Dモーションキャプチャーを用いた音楽的表現時の動作解析結果を特徴量として機械学習を行った結果と合わせて、著書にも研究成果や今後の研究の方向性についてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アイトラッキングシステムをレンタルすることにより、当初の研究目的や課題の遂行を続けることができている。予定通り、2か所の幼稚園で、様々な歌を歌唱時の対象児(n=60)1人ずつについて、アイトラッキングを行い、視線計測結果を分析ソフト(Tobii Proアナライザ)で解析して、視線の変化や順序を捉え、曲調による差異や特徴を明らかにした。また、取得データのうち、特にsaccade(急速眼球運動)の発生回数、大きさ、移動平均速度、総移動距離などに関して、統計的分析を行った。その結果、長調・短調といった曲調や調査対象園の保育形態による特徴的な差異を見出すことができている。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度より2年間は、これまで別々に行ってきたアイトラッキングと動作解析を同時に行うことにしている。2022年度には、2か園の対象幼児について、1人ずつ、音楽的表現時のアイトラッキング(Tobiiグラス3)とMVN(3Dモーションキャプチャー)の同時解析を行い、幼児の音楽的表現の発展度の分類予測に寄与する新たな動作特徴量を抽出することにしている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
科学研究費補助金に申請した際のアイトラッキングシステム購入金額よりも、交付決定金額が少なかったため、アイトラッキングシステムの機材購入ができませんでした。機材購入をとりやめ、研究期間中、毎年度利用料金を支払うことで、機材をレンタルすることに変更しました。そのため、次年度使用額を、アイトラッキングシステムの機材レンタル料金に充てることにしました。また、動作解析用の3Dモーションキャプチャーシステムの保守料金の支払いにも充てます。
|