研究課題/領域番号 |
21K02373
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研究機関 | 会津大学短期大学部 |
研究代表者 |
渡部 琢也 会津大学短期大学部, 幼児教育学科, 講師 (30410913)
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研究分担者 |
藤井 勝紀 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (10165326)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 成長曲線 / 思春期ピーク / 体格 |
研究実績の概要 |
今年度については自然発育の機序として考えられている身長と体重のMPV年齢の順序性の関係から、東日本大震災の劣悪なストレス的環境による、身長のMPV年齢に対する体重のMPV年齢の遅延を解析し、震災によって生起する身体発育のリスクを検証した。被験者は対照群として、西日本地域から収集した小学1年から中学3年までの縦断的身長、体重の発育データがそろっている女子4659名とした。女子に限定したのは身長と体重のMPV年齢の出現が男子より早いために中学期でほぼ身長、体重のMPVが検出されると判断したからである。そして、被災群としては東日本大震災において津波の被害を受けた(平成23年~平成31年)宮城県沿岸部の某中学校の小学1年生~中学3年生女子48名であった。本研究の趣旨を十分に理解してもらい、発育測定で記録された身長と体重の縦断的発育データを使用した。その結果、身長に対する体重のMPV年齢の遅延としてのズレについて、対照群と被災群で比較検証したところ、被災群において遅延のズレが大であったことが{有意差(P<0.05)}が認められ、被災群のストレス性体重増加が示唆された。しかし、平均的には被災群で体重のMPV年齢が遅延としてズレていることは示されたがすべての被災群女子のMPV年齢が遅延としてズレいるわけではない。そこで身長のMPV年齢に対する体重のMPV年齢の回帰多項式分析から被災群における個々の体重のMPV年齢の遅延としてのズレを判定し、その判定された分布状況について検証した。その結果、被災群の宮城県女子において、身長のMPV年齢に対する体重のMPV年齢の遅延としてのズレを個々に明確な証左を導き出したといえる。これにより、宮城県沿岸部における女子中学生の不自然な体重増加傾向が明らかになり、未だに東日本大震災の影響が学齢期の児童生徒の発育に何らかのリスクを与えているという事が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究において福島県内の児童生徒を対象として研究を進め、一昨年度津波被害の大きかった宮城県沿岸部の中学校の協力を得ることが出来た。発育のタイミングがあるため女子における検討となっているが、昨年度はこれらをもとに原子力発電所の事故が原因となっている福島県と津波の影響が強かった宮城県沿岸部との比較を行うことが出来、東日本大震災における地域間の際について検討することが出来た為、当初の計画通り進んでいるものと考えている。一方でコロナ感染症対策による活動制限については、データ収集は出来ている地域があり、今後分析を進める予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
本報告のとおり、東日本大震災でも地域間で影響が出ていることに対する原因が異なるため、得られた結果も異なっている。可能であれば、研究対象地域を拡大したいと考えているがコロナの制限は明けたが、福島県以外の地域は交渉もこれからであるので、【現在までの進捗状況】にも記載した通り、現状で取得できているデータについて分析を進すめることと取得しているデータから得られた結果について考察を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き、コロナ禍であり、オンラインでの学会実施が多かったことと校務において立ち居への積極的な移動の制限があったこともあり、学会発表を断念したことが理由である。次年度はさらに研究を進めるべく、研究環境を整え、学会にも参加し発表する予定である。
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備考 |
令和3年度の実績状況報告書の10研究発表〔雑誌論文〕の2件目が当初2022年3月に発刊される予定でしたが、先方の都合で発刊が2022年9月となりましたので、令和4年度の報告書に訂正して記載しました。
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