研究課題/領域番号 |
21K02375
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研究機関 | 愛知大学短期大学部 |
研究代表者 |
杉本 貴代 愛知大学短期大学部, ライフデザイン総合学科, 教授 (70267863)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多文化共生保育 / Child-directed speech / 非言語情報 / 近接希求 / 子どものこだわりの保障 / decontextualized talk |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、乳幼児をとりまく日常的な環境(とくに家庭や保育等の環境におけるコミュニケーション)の質のどの側面が学齢期以降の認知・非認知能力を下支えするかについて縦断的研究を通して検討することである。子どもの生活の連続性という観点から、子どもが日常的にかかわる人々や集団における社会相互作用の特徴に注目し、保育の現場における子どもをとりまく「社会相互作用」の発達を検討するため、子ども集団との接触を完全に避けることが難しい研究である。2021年度に引き続き、小規模園での調査を2022年度も、複数の小規模園で子どもの生活の連続性を踏まえた縦断データの収集を目指した。前年度から引き続き、多様な文化的背景をもつ子どもたちと彼らの育ちを支える保育専門職を対象として引き続き調査することにより、多様な子どもたちの育ちの過程を追跡することができた。乳幼児期のなかでもとりわけ発達変化が著しい0~2歳児の発達を微視的にとらえるため、強縦断的観察手法を取り入れた。この観察方法によって発達の過程と様相について、より小さい単位からとらえることが可能となり、これまでの欧米の親子を中心とした先行研究とは異なる新たな知見を得ることができたと考えている。保育理念を共有する協力園にて、保育者と子どもとの1対1の相互作用を観察する機会に恵まれ、多様な子どもたちの育ちから、子どもの言語獲得の柔軟性と可塑性についてヒントを得た。今年度の成果は、日本保育学会にて口頭発表した。学会活動を通じ、本課題を多面的にとらえなおす契機となった。また、「脱文脈化発話」については、国内外の社会相互作用の文化差について先行研究の知見をレビューした。それらを手がかりに、社会相互作用における定型/非定型の発達データを収集し分析した。その成果は、今年8月に英国の乳幼児発達に関する国際学会にて報告することになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の責任者が4月から8月の間に体調を崩したことにより、国際学会出張のための海外渡航を見送ったことと、新型コロナウイルス感染症が地域的に再流行したことにより、研究計画の一部に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
国際学会で発表し、学術交流を通して本研究課題の発展に資する方向性を検討する予定である。脱文脈化発話に対する子どもの理解の発達を支える「非言語情報」に着目し、強縦断的に調査していく予定である。また、研究協力者との連携と全面的な協力体制の構築により、ICTを利活用してオンラインでのデータ収集も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の責任者が4月から8月の間に体調を崩したことにより、国際学会出張のための海外渡航を見送ったことと、新型コロナウイルス感染症が地域的に再流行したことにより、研究計画の一部に遅れが生じた。 本研究課題は縦断的発達データをとる必要があるため、2023年度は、対象の地域・都市を当初の計画に戻して拡大して調査を行うとともに、国際学会での研究成果の発表と学術交流を行う。国内学会の発表の際の共同発表者の出張費として使用する。また、ここまでの成果を論文にまとめ、専門誌に投稿する費用として使用する。
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