研究課題/領域番号 |
21K02391
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研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
及川 留美 東京未来大学, こども心理学部, 教授 (60788800)
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研究分担者 |
粕谷 亘正 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (00559784)
春日 保人 聖徳大学短期大学部, 保育科, 准教授 (00736663)
岩崎 淳子 大東文化大学, 文学部, 講師 (10620205)
金 ミンジ 聖徳大学短期大学部, 保育科, 准教授 (40461800)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地域への親しみを育む保育実践 / 保育の自己評価項目 / 地域資源の活用 / 幼保連携型認定こども園 / 認定こども園教育・保育要領解説における「地域」 / 保育現場における自己評価の実施状況 / 自己評価項目における「地域」との関わりの実態 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、「地域への親しみを育む」ための保育実践に対する問題点や課題を意識することができる保育の自己評価項目のモデルを作成することである。2021年度は自己評価項目の作成に向けた基礎的研究として以下2つの研究を行った。 1.保育実践の基準となる要領・指針等の記述における「地域」という語の検討 『幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説』に記載されている「地域」という語をすべて抽出し、その語の持つ意味について分類をした。その結果、特に本文で記載されている「地域」という語には、単なる特定の地理的範域に基づく空間枠組みとしての意味だけではなく、そのエリアにて人々が実践している活動やその営みなどの関係性を含んでいることが明らかになった。 2.保育現場における地域との関わりおよび自己評価に関する質問紙調査 全国の認定こども園計800園を抽出の上、アンケート用紙を送付し質問紙調査を実施し、237園(回答率29.6%)より回答を得た。質問項目は、園と地域との関連についておよび自己評価についてである。保育現場における地域の捉え方については、園を取り囲む自然(地形・気 候等を含む)と回答した園が全体の90%以上であった。地域の特徴が比較的現れやすいと考えられる文化財等を選択した園は半数に満たなかった。また優先順位としても自然を1番として考えている園が圧倒的に多かった。自己評価に関しては、実施している園は全体の90.4%であった。一方で、「地域」に関する評価項目がある園は44.2%であり、その多くは地域との連携・交流に関する内容ではあるものの、子どもの実体験を通した地域を親しむ体験の意味合いとして使われる場合は少ないことが明らかになった。これらの研究結果より、現状において「地域」に関連する保育実践において求められていることに対する自己評価が行われていないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は本研究課題の調査1にあたる保育施設に対する質問紙調査と調査2にあたる保育施設の保育実践の実地調査を予定していた。調査2においては、実際の保育実践から「地域への親しみを育む」ための保育実践の観察や聞き取り調査を行い、保育実践モデルの作成に取り掛かる予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、都道府県をまたぐ移動の自粛、および保育施設のほとんどが関係者以外の園内への立ち入りを禁止していた等の理由により、沖縄県、栃木県、山形県の認定こども園で予定していた保育実践の実地調査を実施することができなかった。 上記事由により、保育施設の実施調査に関しては、現在のところ当初の研究計画に対して1年ほど遅れていることになる。2022年度に前年度実施予定であった実地調査を実施する予定であるが、行事に関連などから、より地域との関連が深いと思われる時期限定の保育実践を観察することを予定している。そのため今後も新型コロナウイルスの感染状況等によっては実地調査を実施することができないため、研究のさらなる遅れが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
調査1にあたる保育施設への質問紙調査の結果をもとに、開始が遅れている調査2の保育実践の実地調査を9月~3月にかけて実施する。保育現場における「地域への親しみを育む」ための保育実践の観察や聞き取り結果をもとにしながら、実践モデルの作成および評価項目の検討に入る予定である。しかしながら、今後も新型コロナウイルスの感染状況による実地調査の制限が予想される。実地調査地や調査園の再検討やその方法についての変更を検討することが必要となるかもしれない。 また、これまで新型コロナウイルスの影響により対面での研究会を実施することができていない。そのためWeb会議システムなどを活用し、研究会を実施してきた。今後も必要に応じてWeb会議システム等を活用しながら外部参加者を含めた研究会を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、山形県、栃木県、沖縄県にて実施を予定していたフィールドワークを実施することができなかった。そのため旅費が未使用となった。そのため、予定していたフィールドワーク研究を2022年度に実施する予定である。
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