研究課題/領域番号 |
21K02404
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
木下 裕美子 奈良県立大学, 地域創造学部, 研究員 (70434644)
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研究分担者 |
佐々木 洋子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70647833)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 障がい / 保育職 / 修学支援 / 就労支援 |
研究実績の概要 |
本年度も昨年度に引き続き、先行研究と情報収集を行いながら、幼児エジュケーター(EJE)養成校の障害学生支援教員の協力のもと、インタビュー調査を実施している。インタビュー対象者はEJEコース学生、EJE学位取得者、教員である。保育実践における課題、勤務実態、同僚や子どもたちの関わりについて観察するためインタビュー調査協力者の就労現場へ参加することは困難であった。そのため、聴覚障害のある看護師がかつて園長を務めていた保育園へ参与観察を開始するとともに、その方への当時の状況をインタビューした。 調査協力校では全国の入学選抜方法の変更を受けた2018年から障がい支援を申請する学生が増加している。また、入学後の障がい学生支援とは別に、調査協力校3校のうち2校ではOETH(障がい労働者支援)団体の創設したOASIS Handicap(障がい者のソーシャルワーク領域への就労支援)が設置されている。現時点では、両校のOASISからEJEコースに進学した学生は輩出されていない。 インタビュー内容にたいして、EJE学位取得者に絞り、EJEコースを目指した経緯とEJE学位取得、採用、職場での働き方についての語りを取り出し、コーディング化した。調査協力者においては、選抜方法変更、支援センター設置時期の違いに限らず、制度的支援の不足を補うための家族からの支援の有無が入職後の困難とニーズの開示に影響を及ぼしていた。また、障がい認定を受けることと実際の合理的配慮を受けられることには乖離があることに加え、手続きの煩雑さ、保育現場が抱える全国的な労働環境の質の担保の困難さから、自身が抱える困難を現場で共有することを拒むケースが見られた。調査協力者自身が障害による経験であると意味づけて語る内容が抽出された。それを障がい経験の再資源化とみなし、いかなる過程を経ているのか、保育職であることとの関連性を報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力者との連絡を維持でき、参与観察が可能となった保育園もできたこと。現時点での研究成果報告として、学会報告2件と共同科研成果報告会実施運営(リヨン第3大学日本語学科およびESSSE協力)を行うことができた。また、2024年度の成果報告に向けた国内外の学会への参加審査を経て許可を受けることができたこと。 ただし、遅れている状況として、調査協力者を増やす必要性が高いことや先行研究調査の報告が十分になされていない点が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
調査協力者からの内容確認を得るだけでなく共同作業を行うことや、対象者をさらに得ること、養成校における支援の増進に向けた教員らの調査活動への参加を継続すること、報告が採択された国際学会2件の報告を終えること。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の旅費申請ができなかったため。
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