研究課題
「エビデンスに基づいた子ども理解のための観察法の開発-ICER-Rを活用して」研究の2年目は、①ICED-R(J)の作成、②研修教材(VTR)の作成、③学生の観察法研修の三点に取り組み、一定の成果が挙げられた。①については、ICER-Rの観察記録及び評価シートを日本の保育実践に応じた専門用語に修正し、それに合わせた記録用紙に転換することを試みた。2021年度に引き続き、共同研究者のKishida Yuriko(岸田百合子)氏に参加いただき、研究協力者である附属幼稚園の教諭らと協議を行った。なお、ICER-Rのマニュアルの日本語版作成についても最終版作成に向けて継続して行うこととなっている。②については、2021年度からの継続した取り組みである。研究代表者の中橋と研究分担者の小池美里氏でVTRを収集し、それを共同研究者のKishida Yuriko氏と3人で精査している。その際、一人の子どもに着目しながら5分程度の映像教材を6本用意することが確認された。その際、a:自由遊びの場面、b:一斉活動の場面、c:生活活動の場面など3場面のバランス、観察項目(4つの関わり・人との関わり・身体的プロンプト)の出現数のバランスなど、観察法の取得に適した映像教材となる必要が確認された。しかしながら、コロナ禍において子どもたちがマスク着用であることなど、適切な映像教材作成が十分とは言えない。③については、教育実習後の3年生、4年生を対象に初回の観察法の指導及び観察実施の事前トレーニングを実施し、ICER-R(J)のデータを収集した。次年度は、保育者を対象とした事前トレーニングを実施し、観察の精度を高めたい。そして事前トレーニングを経て、保育実践サイクルに取り組む予定である。
3: やや遅れている
当該年度は、保育者と学生を対象にICER-R(J)を用いた研修を実施し、ICER-R(J)データの信頼性の検討等を行う予定であった。初回の事前トレーニングは実施できたが、信頼性を得るまでのトレーニング及び各学期に1度のエビデンスに基づいた保育実践サイクルが実施できなかった。その理由は、研修教材を作成するためには、幼稚園内での撮影活動が必須となる。しかし新型コロナウイルス感染症の影響により、研究代表者の中橋と研究分担者の小池氏が撮影活動を行う中で、子どもたちもマスク着用のため、研修に適した映像の収集が十分に行えなかった。以上が、当該研究にやや遅れが出ている理由である。
令和5年度は、エビデンスに基づく保育実践サイクルを伴う保育者対象の調査を中心に研究に取り組む。また学生対象の調査を継続して行い、ICER-R(J)の信頼性の検討、ICER-R(J)に対する評価・研修計画の評価を行う。そのため、令和5年度前半においては、これまでの継続として、現在進めているICER-R(J)の観察評価シート及び日本語版マニュアルの作成を進める。もう一点は、質の高い研修教材 (VTR)のための動画撮影を継続する。令和5年度後半においては、収集したデータの分析を行う。なお、これまでの研究成果を学会発表、論文投稿等により公表する。
コロナ禍で調査研究がやや遅れている。また学会発表等がオンライン開催となり旅費が使えていないため。
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Language, speech & hearing services in schools
巻: 53(4) ページ: 1037-1050
10.1044/2022_LSHSS-21-00178
Learning and Motivation
巻: 80 ページ: 101839
10.1016/j.lmot.2022.101839<https://doi.org/https:/doi.org/10.1016/j.lmot.2022.101839