研究課題/領域番号 |
21K02408
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
早川 倫子 岡山大学, 教育学域, 教授 (60390241)
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研究分担者 |
片山 美香 岡山大学, 教育学域, 教授 (00320052)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 歌う行為 / 養育者 / 母親 |
研究実績の概要 |
本研究は、養育者の子育てにおける「歌う行為」に着目し,養育者による「歌う行為」が子育てにおいてどのような機能や役割を果たすのか,特に養育者の立場からその可能性について明らかにすることを目的としている。 2023年度は,コロナ禍で自粛していた養育者に対するインタビュー調査を再開し,データ収集と分析を進めてきた。パイロットスタディから導き出された、養育者の「歌う行為」の背景には,養育者の音楽への親和性が高いかどうか,養育者自身の幼少期における歌との触れ合いの度合いや内容の違い,養育している子どもの年齢の違い等,複合的な影響があるのではないかという仮説を踏まえて調査を実施した。 第1に,養育している子どもの年齢の違いが影響しているのではないかという点に関して,パイロットスタディを実施した同養育者を対象に,5年経過後の子どもの成長に伴う子育てにおける「歌う行為」の変化についてインタビュー調査を実施した。第2に,音楽への親和性の高さの点から,音楽を専門としない同年齢の子育てをしている母親を対象にインタビュー調査を実施した。特に分析結果からは,子どもの年齢による歌い方の変化があること,保育園や学校の歌文化が養育者の歌う行為においても影響が大きいこと,特に「母親が歌っている」状態が,母親が元気であると子どもが認識するバロメーターになっていること,そして母親自身もそうした安心感を子どもに与えるために歌っていること等の特徴が見出された。また分析方法についても検討を行い,学会発表を行った。今後は,さなざまな社会的背景や文脈がある中で、個々人内の情動等とも関連させながら、養育者にとっての「歌う行為」の可能性を明らかにしていく必要があることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度・2022年度のコロナ禍によるインタビュー調査の遅れが影響している。 調査が国内に限定されており,今後調査対象を,当初の計画の通り海外へ広げる必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,インタビュー調査を再開することができたので,引き続き調査範囲を広げて進めていきたいと考える。 特に,当初の計画にある通り海外でのインタビュー調査を実施し,文化的・社会的背景の違う場での養育者における「歌う行為」の実際を明らかにしたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外でのフィールド調査が進められなかったため。 次年度に進めたいと考えている。
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