研究実績の概要 |
日本全国の病院から、母体流産胎児由来の組織検体が集積されている(株)SRLの流産胎児染色体分析報告データを解析した。分析対象は2000年11月から2021年3月までの20年5ヶ月間、欠損値を除いた分析データ総数は24,175件である。 母体の平均年齢は35.7±5.1歳で、経年変化は2015年までは漸増、その後は36.0~36.5歳で変化がなかった。検査時平均妊娠週数は全体では10.9週で、経年変化は2013年までは漸減、その後は10.5週前後で変化がなかった。 染色体数、性染色体で区分すると、正常女性核型46,XXは5582(23.1%, 母体検出例が含まれる)、正常男性核型46,XYは 3513(14.5%)、合わせた正常染色体核型の流産胎児9095は全体の37.6%であった(正常バリアントの436件は正常として扱った)。常染色体トリソミー女性(47,XX)は5516(22.8%)、常染色体トリソミー男性(47,XY)は5113(21.1%)で性差がなく、母体混入の影響がない。合わせた常染色体トリソミーは10629 (44.0%)と正常核型例数を上回った。三倍体は69,XXXが251、69,XXYが266とほぼ同数で、合計517(2.1%)だった。四倍体は92,XXXXが163、92,XXYYが169とほぼ同数で、合計336(1.4%)だった。三倍体と四倍体はどちらも母体高齢化の影響はなかった。 全調査数の中で母体年齢が判明している件数は20546だった。染色体正常は7565(36.8%)、染色体異常(常染色体異常+性染色体異常+倍数体など)は12981(63.2%)で異常の方が多かった。染色体異常の割合は母体年齢が高くなるにつれて増加傾向だった(少数例の45歳以上を除く)。常染色体トリソミーの中で多い染色体番号は順に、No. 22、16、21、15、13、18だった。
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