研究課題/領域番号 |
21K02414
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
若尾 良徳 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70364908)
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研究分担者 |
土倉 英志 法政大学, 社会学部, 准教授 (00614637)
池谷 美衣子 東海大学, スチューデントアチーブメントセンター, 准教授 (00610247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中堅保育者 / ミドルリーダー / ワーク・ライフ・バランス / インタビュー |
研究実績の概要 |
本研究は,中堅保育者が抱えるキャリア形成と私生活に関する悩みや葛藤,課題を「中堅保育者クライシス」と名づけ,その実態や背景要因を明らかにすることを目的としている。2022年度には,中堅保育者がどのような困難や課題を抱えているのかを明らかにすることを目的として,前年度に引き続きインタビュー調査を実施した。 調査方法としては,保育者8名に協力を得て,のべ10回のインタビュー調査を実施した。インタビューの内容は,養成校から現在までのキャリアの経路,クラスリーダーやクラス主任等のミドルリーダーを任された時期,ミドルリーダーを任されたことでの職務内容の変化,結婚等のライフイベントによる変化,キャリアと私生活の葛藤,保育職のやりがい,今後の展望等についてである。インタビューの語りを文字起こしして,分析を行った。 結果として,ミドルリーダーの役割を任されるようになった時期は,1年目が1人,2年目が1人,3年目が2人,4年目が2人,8年目が1人であり,早い段階でミドルリーダーの役割を担うことになっていることが明らかになった(1名はミドルリーダーの役割が明確でなかった)。中堅保育者の抱える困難や課題として,ミドルリーダーの職務の負担感,仕事量の増加,担任から離れるさみしさ,リーダーシップの難しさ,休みの取りづらさ,低い給与水準,ワーク・ライフ・バランスの問題,妊活との両立の難しさ,休みの取りづらさ,キャリア展望を持てないことなどが見られた。 これらの結果に加えて,先行研究の文献調査を行い,中堅保育者に特有の課題を抽出し,次年度に実施予定の質問紙調査の項目を作成しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は1年目の2021年度にインタビュー調査を実施し,その結果を踏まえて,2年目の2022年度に質問紙調査を実施する予定であった。しかしながら,1年目に新型コロナウイルス感染症の蔓延により,インタビュー調査をほとんど実施できず,十分なデータを得ることができなかった。そのため,2022年度にも引き続きインタビュー調査を実施して,質問紙調査は次年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には,2022年度までに実施したインタビュー調査の結果および中堅保育者や保育現場におけるミドルリーダーに関する先行研究を踏まえて,質問紙調査を実施する。 質問紙調査の目的は,インタビュー調査,先行研究等から明らかになった中堅保育者クライシスについて,どの程度の中堅保育者が経験しているのか,また中堅保育者クライシスを生じやすい園の条件などを量的な研究から明らかにすることである。 調査は,全国の幼稚園,保育所,幼保連携型認定こども園に勤務する中堅保育者7,000名を集落抽出法で抽出し,調査依頼を行う。調査は,調査依頼を各園に送付し,Web調査で実施する。調査内容は,中堅保育者クライシスの経験の程度,ミドルリーダーとしての職務,保育職の継続展望,保育者効力感,経験年数,園環境などである。分析方法としては,中堅保育者クライシスを経験している程度,およびそれに関連する要因について統計的な分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目に新型コロナウイルス感染症の影響でインタビュー調査を一部しか行うことができなかった。そのため,インタビュー調査の実施,データ分析が間に合わず,2年目に予定していた質問紙調査を延期することとした。質問紙調査に関連する費用を支出しなかったため,次年度使用額が生じた。 2023年度には質問紙調査を実施するため,翌年度分として請求した助成金と合わせて,調査関連の費用として支出する計画である。
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