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2023 年度 実施状況報告書

道徳教育の国際比較に基づく有効な道徳指導法及び評価法の開発実践に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02432
研究機関岐阜大学

研究代表者

柳沼 良太  岐阜大学, 教育学研究科, 教授 (30329049)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード道徳教育 / 道徳科授業 / 中国 / インド / コンピテンシーベース / ウェルビーイング / 道徳科教育学 / 個別最適な学び
研究実績の概要

当該年度は、我が国の道徳教育・道徳科授業をアジア諸国(主にインドと中国)の道徳教育・道徳授業と比較検討することを先ず研究した。各国における道徳科の教科書や指導内容、指導法、評価等を具体的に比較して、複数の研究論文にまとめた。我が国の道徳科授業が教科化されて5~6年経ったにもかかわらず、今でも旧式の心情理解に偏った授業に固着するのに対して、インドや中国などに代表されるアジアの道徳科授業は、進歩的に問題解決学習や体験学習を取り入れて多様な展開をしていることを明示した。
次に、我が国の道徳教育をアメリカの道徳教育・人格教育と比較した。我が国の道徳授業は、どうしても昔から道徳的価値を教え込もうとするコンテンツ・ベースの道徳授業になりがちであるが、一方のアメリカなど欧米はコンピテンシー・ベースの道徳授業を広く積極的に展開している点を指摘した。上述した我が国と諸外国における道徳教育の比較研究は、研究論文や著書で公刊するだけでなく、日本道徳教育学会のラウンドテーブルや道徳教育セミナー等でも広く公表し、普及に努めた。
また、今日世界的に普及しているウェルビーイングの理念を、我が国の学校教育に取り入れるためにどのような手立てが考えられるか検討した。「誰一人取り残さない」学校文化を創造するために国内外の教育実践を踏まえて、多様な道徳教育の在り方を構想している。特に、アメリカの人格教育における倫理的学習共同体の在り方を、我が国にも取り入れるべく具体的な方策を探究している。
さらに、諸外国のICT教育実践例を参考にして、我が国(岐阜、三重、富山など)の小学校や中学校の道徳科において、児童・生徒がAIエージェントと対話しながら問題解決する学習(探究的な学び)を開発し実践した。いじめ問題の解決に向けてAIエージェントと対話する個別最適な学びと協働的な学びの在り方について深く検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我が国の道徳教育や道徳科授業を世界の諸外国(主にインド、中国、アメリカ)と比較検討する研究は、これまでのところ順調に進んでいて、既に複数の研究論文やレポート、研究発表等をそれぞれ行っている。
単なる道徳教育や道徳授業の比較研究に終わらず、その指導内容や指導方法、評価法なども詳しく考察することで、それぞれの国の道徳教育における歴史的経緯や特徴、そして長所・短所にも深く掘り下げることができている。
それに対して、当初予定したいたアジア諸国(シンガポールや韓国など)との比較研究が十分にできていない状況にある。同じアジア圏の道徳教育でも、それぞれの国の事情が異なるため、指導法や評価法に違いがある諸点をもっと追究する必要がある。

今後の研究の推進方策

我が国の道徳教育・道徳科授業を世界各国の道徳教育・人格教育・価値教育などと比較検討するだけで終わることなく、積極的に我が国の道徳科教育授業の開発・改良・実践研究に役立てていきたい。
それぞれの国々の諸事情に応じた道徳教育を従来の型にはめて終わるのではなく、これからの時代に応じたコンピテンシーベースの道徳教育・道徳授業のあり方を国際的・学際的な見地から構築するためにどうしたらよいかについて、諸外国の研究者と協働しながら探究していきたい。
また、ウェルビーイングを実現するために、単なる我が国の道徳授業に限定することなく、広く家庭や地域社会とも連携した道徳教育の在り方や倫理的学習共同体の創り方も含めて検討していきたい。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は、コロナ禍の余波もあり海外で現地の研究者と対面で打ち合わせ等をできるだけ控え、ZOOM等によるオンラインの打ち合わせを積極的に行ったことで、当初予定していた予算額を抑えることができたため、若干の次年度使用額(22,517円)が生じた。
今年度も、引き続き日本の道徳教育を他の諸国の道徳教育と比較検討するが、できるだけ対面式の研究交流を行う予定であるため、この繰り越された経費は早い段階で関連書籍の購入や国内外の旅費等で活用される予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 日印の道徳教育に関する比較研究2024

    • 著者名/発表者名
      ディングラ・エクタ 柳沼良太
    • 雑誌名

      岐阜大学教育学部研究報告 (教育実践研究・教師教育研究)

      巻: 26 ページ: 101ー108

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 道徳科授業の理論的基盤を構築する研究ー廣池千九郎の『道徳科学の論文』と道徳科の内容項目を関連づけてー2024

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 雑誌名

      岐阜大学教育学部研究報告 (教育実践研究・教師教育研究)

      巻: 26 ページ: 109ー118

  • [雑誌論文] 道徳科の問題解決的な学習の開発実践2024

    • 著者名/発表者名
      尾﨑雅斗 柳沼良太
    • 雑誌名

      岐阜大学教育学部研究報告 (教育実践研究・教師教育研究)

      巻: 26 ページ: 119ー128

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 道徳性育成とより良い社会創りのための道徳教育2024

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 雑誌名

      圓一フォーラム En-ichi Forum

      巻: 389 ページ: 10ー15

  • [雑誌論文] 道徳教育の評価に関する国際比較研究ー日本、中国、国際バカロレアに着目してー2023

    • 著者名/発表者名
      張夢渓 柳沼良太
    • 雑誌名

      岐阜大学教育学部研究報告 (人文科学)

      巻: 72巻 ページ: 183ー192

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 道徳科教育学の構築に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 雑誌名

      道徳科教育学研究

      巻: 1巻 ページ: 59ー82

  • [学会発表] アメリカにおけるコンピテンシーベースの道徳授業2024

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 学会等名
      日本道徳教育学会(道徳教育研究セミナー)
  • [学会発表] 道徳科の指導と評価を考える ―個別最適な学びと協働的な学びを中心に―2023

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 学会等名
      日本道徳教育学会(第101回大会)
  • [学会発表] これからの道徳教育展望と道徳科教育学の構想2023

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 学会等名
      日本道徳教育学会(第102回大会)
  • [学会発表] 道徳的実践力を育成する道徳授業2023

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 学会等名
      日本道徳教育学会愛知支部研究大会
  • [学会発表] これからの中学校道徳科授業の指導2023

    • 著者名/発表者名
      柳沼良太
    • 学会等名
      富山県中学校教育研究会
  • [図書] 子どもと教師のウェルビーイングを実現するカリキュラム・マネジメント2024

    • 著者名/発表者名
      田村知子・村上雅弘・吉冨芳正、他20名
    • 総ページ数
      177
    • 出版者
      ぎょうせい
    • ISBN
      978-4-324-11378-3
  • [図書] 道徳科教育学研究 第2巻2023

    • 著者名/発表者名
      浅部航太 柳沼良太 浅見哲也 髙宮正貴 田沼茂紀 張夢渓
    • 総ページ数
      130
    • 出版者
      ネクパブオーサーズプレス
    • ISBN
      978-4-8020-8503-8

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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