研究課題/領域番号 |
21K02443
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
春日 由香 都留文科大学, 教養学部, 教授 (80870344)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 児童詩創作指導 / 表現技法 / オノマトペ / 私のことば |
研究実績の概要 |
本年度は「児童詩創作指導における『私のことば』とは何か」という「問い」を柱として研究を行った。具体的には、児童詩創作指導実践研究と「私のことば」という新たなキーワードを重ねて考察するという試みを行った。過去に入手した資料と本年度新たに購入した「ことば」に関係する書籍・論文等の文献資料を調査・検討をした。まず、小和田隆明(2015)『詩歌に救われた人びとー詩歌療法入門-』などの心理学関係の知見を得た。加えて、詩を書く行為によって、自己の内面を吐露し洞察、変容させていくことができるという事例と、その洞察、変容によって自らを取り戻していく事例を、検討した。また、W・J・オング(1991)『声の文化と文字の文化』を再読し、詩の「ことば」を獲得する行為が、「書くことは意識の構造を変える」というオングの主張と近接すると確認することができた。こうした内外の文献と、申請者がこれまでに収集した戦前・戦後の児童詩創作指導実践資料を分析・検討して見い出した事柄とを比較し整理することにより、本研究を進めるにあたって、新たな気づきを得たと考える。そこで、昨年度までに作成してあった本研究のプロットを、以下の3点において変更した。 1研究テーマに、『「私のことば」をもつ』というキーワードを挿入した。 2「児童が詩のことばを獲得するために、どんな指導をするか」ということを柱にして「題材指導」「構成の指導」「記述の指導」の順に実践内容を並べ直した。 3詩作品の交流・共有についてを研究内容に付加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度は、「児童詩創作指導」における「私のことば」等に関する文献調査・基礎研究を行うことができたが、勤務校での業務過多による多忙化と、実父の死去に伴ってより一層、困難となった実母の介護など家庭事情という二つの理由により、新しい研究内容項目についての自身の考えをまとめて論文等の形で発表するという目標を達成することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの「児童詩創作指導実践研究」を著書の形にまとめ、研究成果を公開する予定である。令和6年3月に著書の出版計画を出版社に出向いて打ち合わせをした。そこでの内容としては以下の5点を確認した。1テーマは『「私のことば」をもつ 詩の創作指導』とする。2児童詩創作指導実践の具体と「私のことば」をもつ意味について、明らかにする。3児童詩作品については、作者の人権を守り、かつ個人情報が特定されることがないように配慮したうえで、研究対象として取り扱う。(作品や作者名を書き換え・リライトする。)4著書の「文体」については、研究者のみを読者であると考えず、一般の読者もいることを想定し、一人称などを用いて記述する。(なお、この記述スタイルについては、大学院時代の恩師などに相談する機会をもち、検討していくことになっている。)5実践内容を中心としたプロットに変更する。併せて、あくまでも「自己の研究のまとめ」としての著書出版を意図しているので、編集者の要望に全て合わせることはできないことを、出版社と確認した。また、この著書において執筆内容に含まなくなる可能性がある「戦前・戦後の児童詩創作指導実践の歴史研究」については、著書執筆とは別の形で研究を継続し成果をまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度は、自身の大学での業務多忙と家庭事情により公私共に多忙を極め、研究に割ける時間が大幅に減少した。それにより十分な研究成果を得ることができず、当初の研究計画を変更する必要が生じた。加えて、研究計画の変更・調整に予想外の日数を要したため年度内に完了することが困難となった。これらが、次年度使用額が生じた理由である。令和6年度には、数回に渉る出版社訪問、恩師の自宅への訪問等を計画しているため、旅費等の出費があると予想される。また、「私のことば」という新テーマに関連する文献を多く収集する予定を立てたために、文献資料・書籍の購入も計画している。
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