研究課題/領域番号 |
21K02455
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
金 ヒョン辰 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10591860)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | ケイパビリティ / 中等地理カリキュラム / 地理的探究に基づく学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、学習内容である力強い地理的知識とそれを教えるための力強い地理教授法との関係を明らかにし、生徒のケイパビリティを高めるための地理的探究に基づく学習に基づく授業の開発を目的とする。 研究初年度である2021年度においては、以下のような大きく2つの研究活動を行ってきた。 第1に、ケイパビリティ・アプローチに関する日本の先行研究を考察し、その成果を韓国地理環境教育学会の2021年夏季学術大会にて報告した。特に、質疑・応答では、まだ韓国でのケイパビリティ・アプローチに関する研究が少ないこともあり、多くの地理教育研究者や教員からの関心を引き、今後の共同研究をも視野に入れることができた。また、ジオケイパビリティ・プロジェクトの特別分科会が設けられた2021年の国際地理学連合(IGU)・地理教育委員会(CGE)チェコ大会に参加し、ケイパビリティ・アプローチに関する国際的動向を把握することができた。 第2に、オーストラリアと日本の中等地理カリキュラムの比較分析を行った。教育目標として、オーストラリアのカリキュラムにおけるケイパビリティと日本の学習指導要領における資質・能力とを比較し。その教育目標を達成するために、両国の中等地理カリキュラムはどのような地理的知識を選択しているのかを確認した。この成果を踏まえ、オーストラリアと日本の中等地理カリキュラムにおける「地理的探究に基づく学習」の特徴を比較検討し、国内外での学会発表・投稿論文とすることを次年度(2022度)の目標とする。また、日本の中等地理カリキュラムに関しては、概論書に関連内容を執筆することができた(『新・教職課程演習 中等社会系教育』、第5章 地理の教材研究の視点 Q1~4)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、ケイパビリティ・アプローチに関する日本の先行研究を考察した研究成果を韓国の地理教育学会に発表し、現地の地理教育研究者と意見交換を行うことができた。また、オーストラリアと日本の中等地理カリキュラムの比較分析を行ったり、中等地理教育の概論書に日本の学習指導要領の関連内容を執筆したりすることができた。当初の研究計画であった教師へのインタビュー及び授業観察を実施することはできなかったが、国際学会への参加・発表などの計画以上の成果もあり、最終的に研究目的を達成することは問題ないと判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2年目である2022年度では、前年度の研究成果であるオーストラリアと日本の中等地理カリキュラムの比較分析を論文にまとめる。また,力強い地理的知識を教えるための力強い地理的教授法の必要性を明らかにするため、教師へのインタビュー及び授業観察を行い、教師が「教育内容」を選択する際どのような省察をしているかを明らかにした後、地理授業における体系的・専門的教授法の要素を確認し、その成果を国内外の学会で発表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画においては、教師とのインタビューや授業参観を行う予定であったが、現地調査を実施することができなかったことで、本年度における旅費・謝金の支出がなく、次年度に使用することになった。
|