研究課題/領域番号 |
21K02455
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金 ヒョン辰 筑波大学, 人間系, 准教授 (10591860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ケイパビリティ / 中等地理カリキュラム / 地理的探究に基づく学習 / 力強い知識 / 力強い教授法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学習内容である力強い地理的知識とそれを教えるための力強い地理教授法との関係を明らかにし、生徒のケイパビリティを高めるための地理的探究に基づく学習に基づく授業の開発である。2年目である2022年度では、以下のような大きく2つの研究活動を行った。 第1に、力強い地理的知識と力強い地理教授法との関係を明らかにし、その成果を発表した。まず、力強い知識を用いるカリキュラム・メイキングに関する理論的考察を行い、その成果を中等社会科教育学会授業実践研究部会第24回例会にて報告した。また、ケイパビリティ・アップロッチの観点から、オーストラリアの気候変化に関する中等地理教材を分析し、その結果を地理教育国際共同研究グループ第12回研究会にて報告した。こうした成果報告に対して、多くの地理教育の研究者や教師から意見を頂き、地理授業における体系的・専門的教授法に関する研究に活かすことができた。 第2に、日本と韓国の地理教師がどのように学習内容を選択し、授業実践を行っているのかを確認した。具体的には、「気候変化と持続可能な世界」のための地理教育というテーマで開催された第2回日韓地理教育学会共同シンポジウムにて、日本と韓国の高校地理授業の実践報告に対する総合討論の進行を担当した。気候変化に関する多様な学習内容をどのように関連づけるのかという教材研究を重視するミステリー手法を用いた日本の実践に対して、韓国の実践では気候変化を生徒がどのように自分事に認識できるようにするかという教授法であるポートボイスが見られた。このような両国の授業実践を参考に、今後汎用性がある地理的探究に基づく学習モデルの開発を行うことを次年度の目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーストラリアの中等地理カリキュラム・教材を分析し、力強い地理的知識と力強い地理教授法との関係を明らかにすることができた。また、当初の研究計画ではなかったが、韓国の地理教育関係者と意見交換を行う機会を得り、研究対象を広げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度においては、地理教育国際学会(IGU・CGE)オックスフォード大会への参加・発表、日韓地理教育学会共同シンポジウムの企画を通して、世界各国の地理教育関係者との意見交換を行う予定である。また、地理教師を希望する大学生による授業づくりを試み、生徒のケイパビリティを高めるための地理的探究に基づく学習モデルの可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画した海外調査や国際学会参加などができなかったことで旅費項目に次年度使用額が生じた。2023年度では国際学会参加が決まっており、海外調査も実施する予定である。
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