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2021 年度 実施状況報告書

「生きること」と切り結ぶ歴史授業論の構築ー戦後史を足場にしてー

研究課題

研究課題/領域番号 21K02457
研究機関弘前大学

研究代表者

小瑶 史朗  弘前大学, 教育学部, 教授 (50574331)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード生存 / 歴史授業 / コンピテンシー / 主体形成 / 戦後史 / 社会的排除
研究実績の概要

本研究は、歴史教育に「生存」概念を導入することの意義・意味を理論的に究明するとともに、それに依拠した歴史授業の姿とその効果を具体的な教材・授業開発を通して明確化することを目指している。このうち、本年度は、主として今後の研究活動の基盤となる理論構築作業を進めた。
まず、本研究が依拠する「生存」概念を、特に歴史学における議論を参照しながら明確化する作業を進めた。その後、特に新学習指導要領が提起するコンピテンシー論に焦点をあてながら、昨今の社会科・歴史教育をめぐる議論の中に「生存」概念がどのように位置づくかを探った。その際、コンピテンシーの主張に基づく歴史授業が、単なる情報処理能力の向上という側面に陥りがちであることを批判的に捉えつつ、「生存」概念を導入することにより、学習者の主体形成に資する歴史授業論の地平が開かれることを展望した。
他方で、「生存」概念を導入するもう一つの意義・意味として、「歴史と現在」を往還する見方・考え方を支える可能性を探った。特に「社会的排除・包摂」という視点と関連づけることにより、現代日本社会の本質的課題に接近しうるのではないかという仮説的な見解を得るに至った。かかる視点から「生存」が脅かされた歴史的状況や「生存」を支える社会関係の歴史性を捉えることで、現代社会の特質や課題等に肉薄する歴史認識が得られると考えている。
以上の理論構築作業と並行して、次年度以降に実施する現職教員との共同研究に向けて、そのネットワーク構築作業と教材化のための基礎資料の収集を進めた。あわせて、新科目「歴史総合」をめぐる教育現場の状況や高校生の問題関心などについての聞き取り調査を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウィルス感染症の影響が懸念されたが、北海道などでの調査も実施でき、現職教員とのネットワーク構築も進み、当初の研究計画に沿って概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

本年度に取り組んだ理論構築作業に基づき、次年度は現職の高校教員の研究協力を得ながら教材・授業開発を進めていく予定である。まず、本年度から普及する新教育課程に対応した高等学校の歴史教科書の収集と分析を進め、どのような主題に「生存」概念を絡めていくかを探っていく。また、青森県内の高校教員に研究協力を依頼し、高校生の生活課題や関心等に関する実態把握を進める。その上で、「生存」概念を具体化するための主題を掘り下げ、教材・授業開発を進めていく。現在のところ「教育」、「就職」、「食」などを仮テーマに資料収集を進めており、今後、これらの中から教材化すべきテーマを確定し、具体的な授業開発を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

参加を予定した学会等が新型コロナウィルス感染症の影響により、オンライン開催となったため残額が生じた。情報処理端末機の老朽化が進んでいるため、新規購入する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 中等教育社会科教師の専門性育成2022

    • 著者名/発表者名
      荒井正剛編
    • 総ページ数
      156
    • 出版者
      学文社
    • ISBN
      9784762030161
  • [図書] <社会的排除>に向き合う授業ー考え話し合う子どもたちー2022

    • 著者名/発表者名
      坂井俊樹編
    • 総ページ数
      391
    • 出版者
      新泉社
    • ISBN
      9784787721181

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公開日: 2022-12-28  

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