研究課題/領域番号 |
21K02457
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 教授 (50574331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | レリバンス / 歴史授業 / 食 / 歴史と現在 |
研究実績の概要 |
本年度は「生きること」と関連づけた歴史授業のあり方を実践的に考究した。具体的には「食」をテーマとした戦後史学習のプログラムを開発し、その効果を高等学校における授業実践を通じて検討した。生徒たちの食生活の実態調査を進めたうえで、戦後史を「敗戦直後」「高度経済成長期」「1970年代以降の現局面」という3つの時期に区分し、各段階における「食」をめぐる社会的状況を歴史的に検討する内容構成をとった。このうち敗戦直後の時期については、生徒たちに身近な青森県を事例にしながら食糧難に焦点をあて、そこから今日の「飽食」を捉え返した。高度経済成長期については、調理家電やインスタント食品、外食産業の隆盛などを取り上げ、「家族団らん」が広がるとともに食の簡便化が進展したことを捉え、そこから今日の「孤食」を見つめさせた。そして、1970年代以降については、食の簡便化が一層進展するとともに、「家族団らん」が崩れ始めている点に注目させ、「食」を媒介にした自然や社会・他者との繋がりを実感する機会が大きく減少していることを捉えさせた。そして、今日的な問題として「子ども食堂」を取り上げ、敗戦直後の状況と関連づけながら、その現象の「新しさ」を検討した。 以上の学習プログラムは、生徒たちの日常生活のなかにある「食」を主題化することにより、「歴史と現在」を有機的に関連づけることを企図して作成したものである。これに加えて、生徒たちの祖父母・父母の経験を組み入れることを試みた。いわば「レリバンス」を二重に起動させることにより、通常の学習より歴史への関心を高め、「歴史と現在」を往還する思考を促進させることができた。その一方で、「食」の消費に重点を置き、生産サイドの側から検討する視覚が弱く、この点に課題が残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
教育実習を統括する学内組織の役職を担当したことにより、十分な研究時間を確保することができなかった。授業開発を進めることはできたものの、高等学校に新設された「歴史総合」のなかに「生きること」を内在化させるための理論的検討を十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を1年間延長することにした。それにより、高等学校「歴史総合」の教科書編成と教育実践動向の分析を進め、「生きること」を問うことの意味・意義、「生きること」を問う教育実践のあり方を理論的に考究したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内業務(入試、教育実習等)の多忙化により、参加予定であった学会・研究会に参加できなかった。また、一部の学会がオンライン開催となったために、当初、予算に計上していた旅費などに変更が生じた。「歴史総合」に関する理論的・実践的な動向を探るために、日本社会科教育学会などの関連学会に参加する。また、上記に関する文献の収集を進める。加えて、高校教員への協力を呼びかけて、研究会を開催する予定である。
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