研究課題/領域番号 |
21K02464
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研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
前田 康二 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (60737419)
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研究分担者 |
吉村 雅仁 奈良教育大学, 教職開発講座, 教授 (20201064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小学校外国語 / 資質能力基準 / ポートフォリオ / 専科教員 / 協働的研修 |
研究実績の概要 |
本研究は、今後の日本の小学校外国語担当教員に求められる資質能力を明らかにし、その評価基準、及び省察ツールとしてのポートフォリオを開発するとともに、外国語専科教員及び外国語指導助手(ALT)がオンライン、オフラインで協働して学び合い、学びの蓄積と振り返りを行う研修プログラムを開発することを目的としている。 令和3年度前半は、初等外国語教育の指導者に求められる資質能力基準の検討及び研修プログラムの先行事例の収集を、関連文献やウェブサイトの調査を中心として行った。得られた資料を基に、仮の資質能力基準を作成した。 年度後半には、作成した仮基準に基づき、試行用の研修プログラムを開発し、奈良県教育委員会との連携の下、小学校外国語専科教員12名を対象にオンラインを中心に対面も交え、毎月一回程度の継続的な研修を計5回実施した。参加者への質問紙及び聞き取り調査から、研修内容や方法に関わっては、言語学習における効果的なICTの活用やコロナ禍における教室での言語活動の在り方など、新たに対応が必要となっているテーマへのニーズが高いこと、様々な事例の共有など参加者間での定期的な情報交換の場を求めていること、協働して指導案の作成に取り組むなど協働的な課題解決の機会を有益に感じていることなどが示唆された。 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年度は予定していた国内外の研究機関及び都道府県教育委員会への訪問調査は実施できなかったため、2022年度実施し、2021年度実施した研修の検証結果とあわせ分析して、資質能力基準、ポートフォリオ及び研修プログラムを検討、構築することとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2021年度は予定していた国内外の研究機関及び都道府県教育委員会への訪問調査は実施できなかったため、主に文献を中心とした調査になり、期待していただけの資料を得ることができていない。2021年度実施予定の訪問調査を2022年度に行い、その成果を2021年度作成した仮の資質能力基準及び実施した研修の検証結果とあわせ分析して、資質能力基準、ポートフォリオ及び研修プログラムを検討・構築することとする。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度:資質能力基準及び研修プログラムの国内外調査を継続するとともに仮の資質能力基準の妥当性等を検討し改善する。作成した資質能力基準を国内の学会で発表し、フィードバックを得る。小学校外国語専科教員、ALTを対象に、前年度に開発した研修プログラムを奈良県教育委員会と連携して実施し、ポートフォリオ記述分析等により、参加者の変容を資質能力基準に照らし評価して、研修プログラムの改善を図る。また、開発した資質能力基準を教職大学院の授業において活用する。 2023年度:資質能力基準及びポートフォリオの妥当性等の点検を基に改善を図る。小学校外国語専科教員、ALTを対象に、2022年度に改善を加えた研修プログラムを奈良県教育委員会と連携して実施する。観察やポートフォリオ記述分析から研修参加者の変容を資質能力基準に照らし評価するとともに、参加者への質問紙及び聞き取り調査により研修プログラムの評価を行う。研修プログラムの開発及びその成果と課題について国内外の学会で発表する。また、研修用ウェブサイトを開発し、オンライン研修プログラムを準備する。さらに、教職大学院の授業にプログラムを組み入れ実施する。 2024年度:2023年度に改善した研修プログラムを実施し、評価するとともに、開発したウェブサイト(教材含む)の有効性を検討し、改善する。また、資質能力基準、研修プログラムの概要及び使用教材等をウェブサイトに統合し、各都道府県等自治体が希望に応じて活用できるようにする。研究成果を国内外の学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた国内外の研究機関及び都道府県教育委員会への訪問調査は実施できなかったため、旅費の支出がなかった。また、同様の理由で、研修で予定していた外部講師を招聘できなかったため、人件費・謝金についても支出がなかった。これらについては、令和4年度に実施する予定である。
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