研究課題/領域番号 |
21K02465
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
鈴木 慎一朗 鳥取大学, 地域学部, 教授 (90442087)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新民謡運動 / 師範学校 / 郷土教育 / 山梨県 / 香川県 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦前の新民謡運動を契機とした師範学校における郷土教育の実態と戦後への影響を明らかにすることである。 2021(令和3)年度は、新民謡運動が師範学校における郷土教育へ及ぼした影響の検証を実施した。具体的な内容としては、第一に、モデル指定校であった山梨県師範学校・山梨県女子師範学校編『山梨県綜合郷土研究』(1936)、調査報告書の収集ならびに新たに設置された郷土室に関する資料を収集し、新民謡の位置付けを整理した。『山梨県綜合郷土研究』においては、40曲の山梨県の新民謡が列記され、新民謡を高尚な趣味と健全な気風と好意的にとらえていた。中でも1925(大正14)年に発表された、白鳳会作詞、韮崎芸妓作曲の《縁故節》については、解説も加えられていた。なお、研究の成果の一部については、『地域学論集』第18巻第2号(2021)に発表した。 第二に、指定校であった香川県師範学校・香川県女子師範学校編『香川県綜合郷土研究』(1939)、調査報告書の収集ならびに郷土室に関する資料を収集し、新民謡の位置付けを整理した。『香川県綜合郷土研究』においては、「新作民謡には、主として観光讃岐を歌つたものが多く、随つて郷土紹介、名勝讃美の内容を具有してゐるものが多い」と解説され、20曲の香川県の新民謡の曲名が紹介される。1930(昭和5)年に発表された、野口雨情(1882-1945)作詞、中山晋平(1887-1952)作曲の《高松小唄》も列記されていた。《高松小唄》は1931(昭和6)年、ビクターからSPレコード(51489)が発売され、A面で1~4番を葭町二三吉(1897-1976)、B面で5~7番を四家文子(1906-1981)が唄う。なお、研究の成果の一部については、日本音楽教育学会中国・四国地区例会(2022)において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『山梨県綜合郷土研究』ならびに『香川県綜合郷土研究』は、鳥取大学附属図書館にも所蔵されていたこともあり、資料収集が順調に進んだから。さらに香川県等に実際に調査に出掛けることができたことも大きい。
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今後の研究の推進方策 |
対象を指定校であった秋田県、茨城県にも広げ、資料収集ならびに分析を行い、新民謡の位置付けを整理していく計画である。さらに新民謡運動が師範学校における郷土教育へ及ぼした影響を検証していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、学会がオンラインで実施されたため、国内旅費が不要となることが多かったためである。 使用計画については、調査研究のための旅費としての活用を予定している。
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