Society 5.0で示された近未来社会では人工知能の社会的な利用が一般的になることが予測され、人工知能を体験的に学習できる教材が必要となっている。本研究課題では、生活や社会における問題をインターネット等を介して提供される地図データを基盤とする双方向性のあるコンテンツのプログラミングに人工知能を導入することによって課題解決するための指導法を研究開発するとともに、その学習効果を授業実践に基づいて評価・検証することを目的とする。 主に中学校で技術科を担当している教員に対して実施した意識調査等に基づき、「人工知能と地図データを基盤とする双方向性のあるコンテンツのプログラミング教育」の学習指導内容と学習時間数を定め学習指導計画を立案した。具体的な人工知能の仕組みを理解するために体験的にニューラルネットワークを学習できる教材、及び、人工知能を用いて操作できる地図データを含むWebコンテンツを用いた。教示用資料、学習用ワークシート等も作成し、中学校において開発したプログラミング教育を実践した。授業実践時に行った事前・事後学習調査、授業時毎の自己学習調査を分析結果に基づき、学習指導計画の妥当性と開発した教材の有用性を明らかにした。一方、文字を組み合わせてWebコンテンツを制作することはやや難易度が高く、教育的な配慮がなされた専用の制作環境の開発の必要性も明らかになった。さらに、開発したプログラミング教育を高等学校情報科「情報I」におけるプログラミングと情報デザインに関連する教育への応用についても検討した。
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