研究課題/領域番号 |
21K02473
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
石黒 直哉 城西大学, 理学部, 教授 (20401193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境DNA / 検出技術 / 環境教育 / 希少種 / 絶滅危惧種 / リアルタイムPCR / モバイル型PCR装置 |
研究実績の概要 |
小・中学校の環境教育で利用可能な、環境DNA分析手法を用いた希少野生生物の簡便かつ迅速な検出技術の確立を目指している。これまでの連携研究実績や地元小・中学校の教員との繋がりを考え、福井県越前市を対象地域とした。本市に生息する絶滅危惧種であるナガレホトケドジョウ、トミヨ、アベサンショウウオを対象とし、環境DNAの迅速検出技術の確立を試みている。 ①昨年度作成したトミヨ属特異的プライマープローブセットによるトミヨの特異的増幅が確認された。 ②このプライマープローブセットと昨年度作成したアベサンショウウオ特異的プライマープローブセットをを用いて、環境水か両種両種の環境DNAの検出を試みた。簡易抽出キットと酵素は昨年度個体から抽出したDNAを用いて最適だと導き出した組み合わせで行った。その結果、簡易抽出では、モバイル型、ベンチトップ型のいずれの装置でも検出されず、高純度精製によるもののみ検出された。簡易抽出は阻害物質の影響で検出されなかった可能性があるため、阻害物質除去剤を使用したところ、モバイル型・ベンチトップ型いずれの装置でも検出されなかった。そこで、サンプルの希釈溶液によるqPCRを行ったところ、池のサンプルのみモバイル型・ベンチトップ型いずれの装置でも検出された。 ③産卵時期を迎えたアベサンショウウオの環境水を採水しフィルターろ過、現場ろ過した環境水サンプルをモバイル型・ベンチトップ型qPCRで環境DNA検出を行った結果、実験室でフィルターろ過したもののみで検出された。但し、簡易な検出手法の確立からは遠ざかってしまう結果なので、今後は更なる簡易抽出法を試してみる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍で、令和3年度は福井での採水作業など移動を伴う実験が進められなかった。令和4年度分の研究テーマを先にやるなど変更して多少進む事ができたが、大幅な遅れとなった。本年度遅れを取り戻したが希少種のDNA検出に予想以上に手間取り当初の予定通り進行していない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ナガレホトケドジョウも加えて更に様々なDNA抽出方法、阻害剤に強いとされるPCR増幅酵素を試してみる。少量のDNAを効率良く回収する方策として、パッシブサンプリングなども検討していく。またqPCRと異なり一定温度で増幅可能、DNA増幅の有無が目視で判断できDNA増幅阻害剤の影響を受けにくいとされるLAMP法での検討も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍でフィールドワークが余りできなかった。それに伴って関連する実験の進捗が遅れている。次年度は当該年度の計画を進めていくため試薬等の購入を進めて行く。 なお、コロナ禍での遅れのため、1年間の延長を考えているため、計画的に支出額の繰り越しも考慮していく予定である。
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