研究課題/領域番号 |
21K02477
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研究機関 | 名古屋産業大学 |
研究代表者 |
石川 美智子 名古屋産業大学, 現代ビジネス学部, 教授 (30733258)
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研究分担者 |
松本 みゆき 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 特任准教授 (20883276)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インド / 日本型教育 / 学校保健教育 / パンデミック / 個と集団に焦点を合わせた教育 / 多様性を認める教育 / 学級経営 / 日本型教育トランスファー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本の学級経営を参考にしたインドにおける「衛生安全な新しい日本型学級経営モデル」の開発である。1年目は,インドと日本の学校保健衛生に関わる先行研究分析と教師へのインタビュー調査を行った。 2年目にあたる本年度は,「衛生安全な新しい日本型学級経営モデル」の教材を作成しインドの15歳の生徒に学級経営の実践を行った。実践校は1つの中央政府学校と2つの私立学校である。まず,多様性を認める学級経営の実践を行った。そして,衛生安全な授業を行った。具体的にはCOVID-19感染症予防のためのマスク・換気・手洗いの学校保健教育である。モデルの妥当性をみるために,インドの生徒に質問紙調査・COVID-19やその他の病気を予防するためのフェイスマスクの使用を理解する多次元フェイスマスク知覚尺度等を実施して検討をした。 これらの実践に当たって,日本側が立てた授業案を,インドクライスト大学Sadananda Reddy博士と共に事前に授業研究を行なった。さらに,インドの生徒の反応をみながら実践を行った。その結果,生徒たちは日本とインドが友好的な関係にあり,日本の教育がインドで可能性を持っていると感じていることがわかった。また,インドの生徒の「強み」として,教育,行動力,自信・信念,ポジティブシンキング,家族や友人へのサポートが挙げられた。生徒の「強み」を言語化することで,教師の生徒への理解や生徒同士の相互理解につながる可能性があることが示された。また,実践によって多次元フェイスマスク知覚尺度が有意に高くなった。インドの生徒の質問紙調査では,全員が手洗いの演習を肯定的に受け止めていた。これらの学級経営や学校保健教育は,生徒にとっては初めてのものであった。インドの文化を踏まえた日本型教育の学級経営は効果的であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共同研究者のインド連邦政府ポンジェシェリ大学のRamalingam教授やポンジェシェリ地区の学校の先生方の協力を得ることによって,多様性を認める学級経営・マスク・手洗い・換気等の学校保健教育の授業を3学校で実践を行うことができた。 その実践は,インドの一般の方の生活も含めて,10分程度の動画を作成し,インターネット上で発信した。さらに,研究計画にはなかったが日本の大学生によるインド用のマスク・換気・手洗い推奨のポスターを制作して,実践校に送った。これらの成果は,アジア太平洋学校心理学会等で発表した。研究計画以上の活動を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の「日本の学級経営を参考にしたインドにおける『衛生安全な新しい日本型学級経営モデル』の開発」と本研究前の2018年から2020年の基盤C 「インド版日本型学級経営モデルと尺度の開発」の研究は連続的な研究であり,二つの研究をまとめ,英語版と日本語版で報告書を作成し国際学会等で配布する予定である。既に,校正が始まっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
インドにおける「衛生安全な新しい日本型級経営モデル」の開発における実践を3学校で行った。成果は国際学会等発表を行い,各国に発信した。当初はその実践を日本語版および英語版で報告書を作成し,世界に配布する予定であった。実践および論文作成は行ったが,報告書完成までに至らなかった。現在作成中である。特に,日本語版・英語版の校正に時間がかかり,最終年度に繰り越すことになった。そのため使用額に差が生じた。
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備考 |
動画制作にあたって,国立研究開発法人理化学研究所やインドや日本の学校等承諾を得た。
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