研究課題/領域番号 |
21K02486
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
足立 幸子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30302285)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 読書 / デジタルリテラシー / ディシプリナリー・リテラシー / 読書指導 / 国際学力調査 / 非認知的側面 / モチベ―ション / アニマシオン |
研究実績の概要 |
本研究は,(1)国際学力調査・海外の国内学力調査,(2)海外の読書指導法,(3)読書モチベーション等質問紙調査の研究を通して,資質・能力の育成に資する紙及びデジタル読書の指導法及び評価法を開発することを目的としている。研究の方法としては,教育現場での教育実践の試行を含んでいる。 令和4年度については,以下のことを行った。(1)としては国際学力調査PISA及びPIRLSのデジタル読解力の評価について,学会発表を行った。海外の国内学力調査は,スペインの中学校4年生の学力調査を分析しているところであるが,まだ結論を出すには至っていない。また,「読書に関する学力調査」の研究をレビューした記事を掲載した図書は,令和3年度に執筆を開始したものであったが,令和4年度に校正作業を経て刊行となった。(2)の海外の読書指導法の教育現場における試行については,5種類のことを行った。まず,幼稚園で4歳児・5歳児に「読書へのアニマシオン」の実践を行い,データを収集した。さらに小学校現場でも「読書へのアニマシオン」の実践を行い,児童の反応についてのデータを収集した。中学校現場では一人一台端末を使用して「読者想定法」の実践を行い,各種ワークシートのデータを収集した。大学生及び教員研修の現場では,「インクワイアリー・サークル」の試行的実践を行い,その結果と考察を論文として執筆した。さらに,海外の読書指導の基礎論となる読書材(絵本)及びその読者反応の国際比較についての論文を執筆した。(3)読書モチベ―ションとしては,大学生の日米比較の研究が掲載となった。その他,国際学力調査の質問(紙)調査の分析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は,それぞれの方向で研究が進んだ。特に,教育現場を訪問することができるようになり,近隣の幼稚園・小学校・中学校・大学・教員研修の場面で,試行的実践を行えたことは成果と言える。しかし,収集したデータを分析するのに時間がかかり,研究成果をまとめるには至っていない。それでも,令和4年度中に国内学会を中心に少しずつ学会発表の機会を得られるようになり,令和5年度の論文執筆に向けて準備を進めているところである。なお,これまでに積み上げてきた国際比較調査については,徐々に論文にまとめることができている。一方で,国際学会には参加できておらず,研究発表もできていない。全体としては,COVID-19による令和3年度の遅れの分を全く取り戻したというところには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に教育現場での試行的実践については,データをまとめて,令和5年度に国際・国内学会での研究発表へとつなげていく。 国際学力調査については,PIRLSの結果発表が2023年5月にあるので,それについての研究を進めていく。PISA2022については令和5年度(2023年度)中に結果発表があれば,研究に組み込んでいく予定である。また,デジタル化の進展にともない,百科事典データベースやデジタル図書館などを利用する読書の形が増えてきている。それらについても調査を行っていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度もCOVID-19の影響下にあり,国際学会への参加や,国内学会への参加に制限があったため。 令和5年度は,国際学会及び国内学会における研究発表を予定している。
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