研究課題/領域番号 |
21K02496
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤瀬 泰司 熊本大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30515599)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中学校 / 歴史学習 / 市民革命 / 自主的納税倫理 / 日本国憲法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,子どもの租税意識の変革的な成長をめざす中学校社会科授業を開発することによって,民主的な国家・社会の形成者を育成する租税教育の方法を具体的に明らかにすることである。この目的に基づいて,2021年度は,「市民革命について調べ,考え合う-市民革命は課税のあり方をめぐって始まった!-」(梅津正美編著『新3観点の学習評価を位置づけた中学校歴史授業プラン』明治図書,2022年,84-89頁)という歴史授業を開発した。 この単元(全2時間)のポイントは,市民革命で誕生した「自主的納税倫理」に注目する点にある。自主的納税倫理とは,簡単にいうと,税金は「市民が決めて負担するもの」という能動的な租税思想のことである。そのため,この思想が誕生した歴史的背景として市民革命を学習させることができれば,税金は「とられるもの」という受動的な租税意識を身に付けている生徒の意識変容を促すことができると考えた。 授業の概要は次の通りである。導入では,「自主的納税倫理が市民革命の頃に誕生するのはなぜだろうか」という学習課題を設定する。展開1では,教科書や資料集を調べさせることによって,欧米諸国の市民革命が国王や政府の課税のあり方をめぐって始まっていることに気づかせる。展開2では,王権神授説と社会契約説の違いに注目させることによって,市民革命を契機に国家の主権者が国王ではなく市民になったことにより自主的納税倫理が誕生したことを理解させる。終結では,本単元の学習成果を活用して国民の納税がなぜ義務なのか考えさせ,税金は「国民が決めて負担するもの」であることを確認する。 以上の通り,2021年度は,自主的納税倫理が誕生した歴史的背景として市民革命を学習させる授業を開発することによって,生徒の能動的な租税意識を育成する歴史学習のあり方を具体的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の実施計画で示した通り,子どもの租税意識を変革する歴史授業を開発し,その成果を発表できたから。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は,地理学習の授業を開発することである。具体的には,2022年度は,タックスヘイブンの問題を教材にすることによって,生徒の能動的な租税意識をよりよく育成する中学校地理学習の授業を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
プリンター等の在庫不足により購入できなかったため。 次年度は,引き続きプリンター等の発注を行い購入する計画である。
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