研究課題/領域番号 |
21K02505
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
平田 豊誠 佛教大学, 教育学部, 准教授 (90733270)
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研究分担者 |
廣木 義久 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (80273746)
小川 博士 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 准教授 (90755753)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 流れる水の働き / 選択運搬作用 / 粒径分布 / 破砕・摩耗作用 |
研究実績の概要 |
河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の成因について,流水による砂礫の選択運搬作用が支配的要因だという説(選択運搬説)と破砕・摩耗作用が支配的要因だという説(破砕・磨耗説)の2つの対立する要因があげられている。検定教科書中にはその2つの要因の記述があるにもかかわらず,学習者は破砕・摩耗作用を支持している実態がある。 本研究では教員や学習者がそのどちらに依った認識を保持しているかを調査し,どのように教授されているかを調査する。その結果を基に,破砕・摩耗作用よりも要因として大きいと考えられている選択運搬作用を正しく教授できるような教材を開発し,実践検証していくことを目的としている。 令和3年度では,河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の成因についての認識について,小・中学生,大学生,教員を対象に調査を行った。その結果,小学生および中学生においては,8割を越える児童・生徒が破砕・摩耗説をその第一要因として認識していることが明らかとなった。また,小学校教員では,57。1%の教員が破砕・摩耗説を第一要因に挙げる一方,36。7%の教員が選択運搬説を認識していることが明らかとなった。また教師と児童に第一要因についての認識のズレが生じていることが判明した。 また文部科学省検定済みの理科教科書の記述内容の調査を行った。破砕・摩耗説で説明がなされていたのは,2015年発行の教科書では6社中5社,2020年発行の教科書では6社中4社だった。選択運搬説での説明は2015年発行の教科書では6社中2社,2020年発行の教科書では6社中1社だった。破砕・摩耗説と選択運搬説の両方を取り上げていたのは2015年発行では2社,2020年発行では1社だった。破砕・摩耗説のみの説明は2015年,2020年発行ともに3社,選択運搬説のみの説明は2015年,2020年発行ともに0社だった。成因の説明が無かったのは2015年発行で1社,2020年発行で2社だったことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究計画において目指していた,「河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の認識実体の調査する」ことについては,小学生,中学生,大学生,教員に対して調査を終え,日本地学教育学会全国大会において発表・報告することができた。 さらに「文部科学省検定済みの理科教科書(小学校6社,中学校5社,高等学校:地学基礎5社,地学2社)の記述内容を分析し,河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の成因についての記述内容を明らかにする」ことについても,調査を終え,日本理科教育学会全国大会において発表・報告することができた。 上述2点の研究結果を論文としてまとめ投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に得られた結果を基にして,認識のズレを無くしていくための選択運搬作用を含めた正しい内容を教授できるような教材(水路実験装置を用いた運搬・堆積実験)を開発する。 また,教科書記述に着目し,教員を対象に,選択運搬説,破砕・磨耗説のどちらの説を主とした教授を行っているのかの調査を行い,理科教科書の記述内容を分析,当該教科書に付随する各社発行の指導書の記述内容を分析をもとに,河床堆積物の上流から下流にかけての細粒化の成因についての教授内容の実態を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
検定教科書の指導書等の購入費が控えられた点および謝金使用が控えられた点があげあれる。まずは分析に必要な検定教科書を購入したためであり,指導実態の調査研究において今後必要となってくる。また研究者自身によりデータ入力等を行うことができたためである。 令和4年度以降は,研究打ち合わせ及び成果発表のための旅費として使用していく。またデータ入力,資料整理,専門的知識の提供の謝金として使用していく。併せて,論文の抜き刷り費用や検定教科書の指導書等の購入費として使用していく。
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