研究課題/領域番号 |
21K02506
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
西川 潔 関西福祉科学大学, 教育学部, 准教授 (90785536)
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研究分担者 |
堀田 千絵 奈良教育大学, 教職開発講座, 准教授 (00548117)
佐古 秀一 鳴門教育大学, その他部局等, 副学長・教授 (30153969)
大脇 康弘 関西福祉科学大学, 教育学部, 教授 (60135762)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 校長 / リーダーシップ / 教員 / 信頼構成要因 / 協働的な学校組織構築 |
研究実績の概要 |
これまで学校組織にはどういったスクールリーダーのリーダーシップが必要であるかについて、調査に基づいた研究を進めてきていた(科研、基盤研究C18K02598)。この実践や調査を通じて明らかになったのは次の2点であった。1点目は一部の力量ある教員の力に依存するのではなく、管理職を含む教員が双方向性を意識したコミュニケーションを基に教育活動を推進すること。2点目は、第1の観点を実現するためには、校長が教員と共に教育活動を進める構えを持っていることに加え、共に成長し合うことを大切にした姿勢を備えていることである。私がこの2点に共通して重要となるキーワードと考えるのは、校長と教員との「信頼」である。 そこで2021年度は「信頼」の構成要因についてのレビュー研究を行った。例えば中谷内(2020)によると、「信頼」に必要な要素としては、能力があると見なされること、人柄が良いと見なされることが重要とされ、その能力や人柄を生かして「信頼」を引き出すためには、根っ子に「価値の共有」が必要であるとする。しかしこの「価値の共有」と「信頼」の関係性の強さはその時々の状況(例えば信頼の高い組織であるのか、それとも低い組織であるのか等)によって変化するものであるとされる。山岸(2020)は、「信頼が必要とされるのは、社会的不確実性の大きな状況であり、それが全く存在しない状況では信頼は果たすべき役割をもたない」と論じる。学校は教育活動の側面では、各教員がそれぞれに一人で頑張ることを当たり前とする組織になりがちであり、それゆえ、バラバラになることが当たり前(常態)となる組織である(佐古、2019)。それだけに学校は社会的不確実性が大きく「信頼」を必要とされる組織であると言える。このようなことを受け、今後教員を対象に校長への信頼を構成する要因を明らかにするために調査研究を行うこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度に教員を対象として校長への「信頼」を構成する要因を明らかにするために、調査を実施する予定であったが、進捗状況に遅れが出て、2022年度に実施することとなったため。
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今後の研究の推進方策 |
リーダーシップと「信頼」の関係についてはこれまでの研究(金井2008、伊丹、加護野2006、露口2003等)によってその重要性が指摘されている。しかし、校長のどのようなリーダーシップ行動が信頼形成に影響を及ぼすかについては十分明らかにされているとは言えない。 そこで、今後、教員がいかなる校長に対して「信頼」を認知するのか、校長への「信頼」の構成要因について先行研究(中谷内一也、山岸俊男、金井壽宏、露口健司等)を参考に、全国の教員を対象に抽出調査を実施し、その分析を行う。 次に上記の研究で明らかになった構成要因に関してリーダーシップ行動がどのように関係しているかを、リーダーシップ行動論の先行研究を踏まえて解明するとともに、それが協働的な学校組織構築にどのように影響しているかを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大により、学会がオンライン開催となったり、学校への訪問ができなくなったりするなど、当初の予定通り旅費が必要でなくなったため。
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