研究課題
本研究の目的は、保育士、幼稚園・小学校教員志望学生に生物多様性の保全に貢献するための知識の習得と価値観・態度の形成を促すプログラムを開発することである。研究初年度の2021年度は、上記学生を対象とした生物多様性の保全に関する質問紙調査を行い、国内6大学の学生約500名の協力が得られた。質問項目は①生物多様性という言葉の意味を知っていましたか②生物多様性について知っていることがあれば、それを書いてください③近年、「生物多様性を守ろう」というフレーズが以前よりもよく聞かれるようになりました。なぜ守らなければならないのでしょうか。あなたの考えを書いてください④「生物多様性」はいま、人間の活動の影響などによって危機に直面しています。危機を招く原因について思いつくものがあれば書いてください、の4項目とした。調査結果は、2022年度に国内の学会にて発表予定である。他方、生物多様性保全に関する先行実践については、2021年度末に広島県江田島市の大柿自然環境体験学習交流館館長にインタビューを行った。2022年5月に小学生を対象とした授業プログラム実施を参観することになっている。以上の調査結果とESDを推進するために必要とされる指導者の資質・能力・生物多様性の保全のために必要な知識、価値観、態度、生物多様性の現状についての文献調査の結果を踏まえて、2022年度はプログラムを開発・実施する。実施後は、その教育効果について検討し、プログラムを修正することにしている。
2: おおむね順調に進展している
理由当初の予定通り、保育士、幼稚園・小学校教員志望学生を対象とした質問紙調査を実施することができた。また、文献調査に加えて、当初は予定していなかった先行実践の蓄積がある社会教育施設でのインタビュー調査を実施することもできた。一方、プログラム開発に関しては、学習内容の考案・配列について研究メンバーで検討・評価・修正する段階には至っていない。2022年度中にはこれを行い、プログラムの実践と評価を行う予定である。
ESDを推進するために必要とされる指導者の資質・能力・生物多様性の保全のために必要な知識、価値観、態度、生物多様性の現状についての文献調査を継続するとともに、先行実践について文献調査および実地調査を行う。これらの結果と2021年度に実施した質問紙調査の結果を踏まえて、プログラムを開発、実施し、授業中・後の学生の反応を分析してプログラム評価を行う。評価結果はプログラムの修正に活用する。一連の成果は2022年度以降の学会等で発表し、他の研究者からの評価を受ける。なお、当初の予定では、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」関連のプログラムのみを開発する予定であったが、目標14「海の豊かさを守ろう」関連のプログラムも開発する予定に修正した。
参加を予定していた学会発表がすべてオンライン開催となったこと,新型コロナウイルス感染防止のため研究者同士の打ち合わせをオンラインにしたことで,旅費支出が大幅に減額となった。また,開発するプログラムに使用予定の教材用写真とツルグレン装置一式については,質問紙調査の結果を踏まえて現在選定中である。以上が次年度使用額が生じた理由である。次年度使用額は,教材用写真とツルグレン装置一式および生物多様性保全に関する教育活動についての取材のための旅費に使用する予定にしている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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