研究課題/領域番号 |
21K02513
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
川上 貴 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90709552)
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研究分担者 |
佐伯 昭彦 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60167418)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | データモデリング / 非形式的な統計的推測 / 統計教育 / 数学教育 / モデルの役割 / STEM/STEAM教育 |
研究実績の概要 |
よりよい予測や意思決定を志向して,データのばらつきの振る舞いを記述・説明するモデル(表現)を構成・評価・改良する営みとして,データモデリングがある。将来の不確実な状況への対応力がすべての市民に求められる現代社会において,数学教育におけるデータモデリング指導の実現化と実装化は,国内外の数学教育研究や統計教育研究が抱える喫緊の課題である。こうした課題に対して,本研究では,学校教育(子どもを対象)と教師教育(教員養成系大学生や現職教師を対象)の両方を射程に入れ,数学教育におけるデータモデリングの体系的な指導枠組みの構築とその指導枠組みの学校教育・教師教育での有用性の実証に取組むことを目的とする. 1年次は,「データモデリングの体系的な指導枠組みの構築」の準備として,データモデリングの特質の検討を行った.データモデリングと,数学を用いて現実世界の問題を解決する「数学的モデリング」を比較すると,表現(モデル)を生成・評価・洗練する過程を辿る点や,現実世界の文脈を重視する点で両者は共通していた.だが,数学的モデリングには見られないデータモデリングの特質が2つ存在することが明らかとなった.1つは,ばらつきを考察対象とすることである.もう1つは,非形式的な統計的推測を一連の活動の最終目的とし,応用指向(非形式的な統計的推測を伴う現実世界の問題解決)と構造指向(よりよいISIのための統計的概念の理解・発達)を相互に関連づけた統合的な活動を可能にすることである.こうした成果に関しては,査読付学術誌(川上,2022)に掲載が決定した. また,国際的な共同研究として,数学的モデリングの視点からデータモデリングを含む統計的モデリングの学習指導の研究に関する体系的なレビューを行った.本研究の成果は,国際学会(ICME14,CERME12)にて口頭発表(査読付)を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年次の研究成果が査読国内学術誌に掲載決定するとともに,新たな研究成果を国内の学術誌に投稿することができたためである.また,オンラインにて国内外の研究協力者と定期的に会合を開くことができ,共同研究を進め,その成果を国内外の学会にて発表することができたためである.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,データモデリングの体系的な指導枠組みを構築し,構築した枠組みに基づいて,小・中・高等学校におけるデータモデリングの授業を設計・実施し,枠組みの有効性を評価していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックにより海外渡航ができなかったため,次年度使用額が生じた.今後,海外渡航ができる時期になったら使用する予定である.
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