研究課題/領域番号 |
21K02553
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
佐伯 昭彦 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60167418)
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研究分担者 |
池田 敏和 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70212777)
川上 貴 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (90709552)
金児 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00706963)
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
磯部 征尊 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70736769)
宮口 智成 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (10367071)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | STEM教育 / 算数・数学教育 / 教師教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,算数・数学教科書の問題をSTEM教材に再教材化し授業設計する教師教育の枠組みを,学術研究者,実践研究者及び美術館の学芸員が協働で開発・実施し,その有用性を実証的に明らかにすることである.なお,本研究では,数学と芸術との教科横断型のSTEAM教育も教師教育の対象とする.令和4年度の研究実績状況は以下の通りである. ①国内外におけるSTEM教育の教師教育研究の動向に関しては,図書と論文等の先行研究をもとに調査・分析を行った.教師教育の枠組み構築とプログラムの開発に関しては,4つのコース(課題探究コース,再教材化コース,授業設計コース,研究授業コース)の内,再教材化コースと授業設計コースのプロトタイプを開発するために,現職の高等学校教諭と共に,数学Ⅱの数学教科書の問題の事象に内在する他教科固有の内容(バクテリアの分裂)に関する教材を生物教諭と協働で開発し,実験授業を実施した.一方,教師の職能成長を評価する項目と方法の策定に関しては,図書と論文等の先行研究をもとに調査した. ②現職の高等学校教諭と共に教材開発し実験授業を実施した成果を,2022年9月に開催された日本科学教育学会第46回年会で口頭発表した.さらに,STEM/STEAM教育の学際的な教材開発を指向したデータ駆動型モデリングの活動を捉える枠組みを開発し,その理論的枠組みを記載した論文が日本科学教育学会の科学教育研究に掲載された. ③数学と美術に関するSTEAM教師教育プログラムを開発し,STEAM教師教育プログラムを2022年6月12日に徳島市内の「ふらっと KOKUFU 地域交流スペース」でワークショップ「数学×美術×福祉のコラボ企画」を実施した.保育士,福祉関係者などの参加があり,数学と美術とを横断する教材開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響により,研究代表者・分担者・協力者が対面で議論することが出来なかったため,一部のメンバーがオンラインを活用して議論を行ったが,研究当初に立てた3つの研究項目とも予定通りに研究が進まなかった.しかし,徳島県在住の協力者1名(高等学校教諭)と月に3回程度の対面会議を行った結果,上記「5.研究実績の概要」で記載したように教師教育の枠組み構築とプログラムの開発が少しではあるが進展した.さらに,徳島県在住の代表者,分担者1名,協力者3名が,数学と美術に関するSTEAM教師教育プログラムについて,月に2回程度の対面会議を行った結果,上記「5.研究実績の概要」で記載したように1回のSTEAM教師教育プログラムを実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策に関しては,以下の研究項目①~④に取り組む. ①国内外におけるSTEM教育の教師教育研究の動向調査[リーダー:佐伯,池田,磯部]:数学教育やSTEM教育関係の国際会議に参加し,諸外国におけるSTEM教育の教師教育の研究動向を調査する. ②教師教育の枠組み構築とプログラムの開発と実施・改善[リーダー:佐伯,土田,磯部,宮口]:2023年度では,教師教育の枠組みを構築し,4つのコース(課題探究コース,最教材化コース,授業設計コース,研究授業コース)で教師教育プログラムを開発する.さらに,教師教育プログラムを実際に実施し,その内容を評価するとともに教師教育プログラムの改善を行う. ③教師の職能成長を評価する項目と方法の策定[リーダー:佐伯,川上,金児]:教師の職能成長の変容を質的に評価するための項目と方法を2023年度内に策定する. ④教師の職能成長の分析と考察[リーダー:佐伯,川上,金児]:2023年度に実施する教師教育プログラムに参加した教師の職能成長を,2023年度に策定した評価項目に従って質的な分析と考察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者(佐伯昭彦)の分担金において816,064円の残金が生じた.その理由は,新型コロナウィルス感染拡大の影響により,国内外の数学教育やSTEM教育関係の会議がオンライン開催になったため研究代表者の旅費が使用できなかった.さらに,本研究の打合せもオンラインで行ったため,計上した研究協力者の旅費等が使用できなかった.令和5年度の会議出張費用等として,この残金を確保した.一方,研究分担者(池田敏和氏)の分担金において70,000円の残金が生じた.本科研題目における研究打合せがオンラインになったため,年度当初に計上していた旅費が使えなかったからである.これらの残金は,令和5年度の旅費等として確保した.
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