研究課題/領域番号 |
21K02554
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
池野 修 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70294775)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 教師英語 / ティーチャー・トーク / 英語教員養成 / タスクに基づく言語指導法 |
研究実績の概要 |
本研究は,英語教師の専門的職務に対応した英語力を教職課程において育成する「英語教授課題遂行能力の育成 (English for teaching purposes,ETP)」プログラムの開発と評価を行う研究である。英語教師に必要とされる英語能力をトレーニングするためのプログラムを,「タスクに基づく言語教育」の枠組みを参考にして開発する。3年次である2023年度の研究実績は次の通りである。(1) 研究成果の一部を「「教師英語」のモデル・考え方についての総合的・批判的検討―ティーチャー・トークについて考察するための基盤作り―」という論文に纏め,『四国英語教育学会紀要』第43号に発表した。(2) 第48回全国英語教育学会・香川研究大会において,ETPプログラムの試行的実践をまとめて「英語教職課程における「英語教授課題遂行能力 (English for Teaching Purposes)」育成プログラムの実践」というタイトルの研究発表を行った。(3) ETPプログラムを構成するタスク群に「音読指導(模範音読の提示)」のモジュールを加え,関連の教材と活動,フィードバック方法を開発し,英語教職課程の授業(英語コミュニケーション演習)において実施した。(4) ETPプログラムの一部を,中学校・高等学校英語教員(現職)を対象とした研修(教材研究フォローアップ講座,2023年10月14日)の中でも実践した。現在,ETPプログラムの試行的実践を論文に纏めているところであり,また,ETPプログラムを約8授業時間の内容に拡大・修正する作業を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は,「教師英語」に関する総合的・批判的レビューについての論文を発表した。また,「英語教授課題遂行能力の育成 (English for teaching purposes,ETP)」プログラムの試行的実践について研究発表も行なったが,その内容をまだ論文としては公刊できていない。また,ETPプログラムに関する様々なデータを収集しているが,その多く(例えば,提出されたパフォーマンス課題)については分析がまだ進行中である。さらに,ETPプログラムを構成する他のタスク(例えば,英語絵本の読み聞かせ,英語学習指導案の作成)についても,関連の教材や活動を開発中である。2024年度にはETPプログラムを完成し,成果を冊子として纏められるように研究を進めるつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
延長申請が認められたため,最終年次になる2024年度は,次のような形で研究を推進する予定である。(1) 「「英語教授課題遂行能力の育成 (English for teaching purposes,ETP)」プログラムの実践について纏めた論文を公刊する。(2) EPTプログラムを実践して集めたデータを多面的に分析する。(3) ETPプログラムを構成する目標タスク全てについて,目標,教材,活動,評価ルーブリックを作成・修正し,ETPプログラムを英語教員養成課程の授業の中で再実施する。(4) ETPプログラムについてまとめたブックレットを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生したのは,パフォーマンス課題となる動画の収集方法を,参加者一人一人に対して用意するiPadではなく,参加者自身のスマートフォンに変更したこと,きちんとしたデータ分析の見込みが立っていなかったため,分析に必要となるパソコンや統計分析ソフトを購入しなかったこと,コロナの完全終息が見通せなかったため,研究発表を海外ではなく国内で行ったこと,などが原因である。今年度は,設備備品として,耐用年数を過ぎているパソコンに代わるPC,動画教材作成のためのビデオカメラやiPad,SPSSなどのデータ分析ソフト,ETP教材の素材となる小学校/中学校/高校の外国語・英語教科書及び教授用資料などの購入に用いる予定である。また,研究成果の発表を行なったり,「教師英語」「英語教師教育」「データ分析」などに関する情報収集をしたりする目的で,研究大会に参加するための費用などが必要となる。
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