研究課題/領域番号 |
21K02576
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
加藤 寿朗 島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (30274301)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 小学校社会科 / 思考力・判断力 / 発達 / 授業研究 / 授業デザイン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,児童の思考力・判断力の発達と形成に関する実証的データの収集を行い,児童が社会的事象について思考・判断していく過程について具体的に検討していくものである。また,発達を促進する社会認識形成の考え方を仮説的に提示しながら,授業研究を通して系統的な小学校社会科授業の内容構成と教育方法について示そうとするものである。具体的には,以下の3点を研究の柱として設定した。 研究1:小学校社会科授業を通して育成する思考力・判断力の構成要素を明確にすると共に,児童の思考力・判断力に関するデータ収集を行い,認識過程や形成のための条件を検討すること。研究2:児童の思考力・判断力の発達を促進する指導方略について実験的な授業を通して明らかにすること。研究3:研究1,2の成果をふまえながら,発達に焦点をあてた思考力・判断力を育成するための基礎理論を検討し,児童の思考力・判断力を促進する系統的な小学校社会科授業モデルを開発すること。 研究期間の初年度である本年度は,次のような手続きで研究を進めた。①小学校社会科授業を通して育成すべき児童期における思考力・判断力の構成要素を規定するために,関連する先行研究の分析・整理を行った。②児童期における思考力・判断力の形成に関する先行研究の分析・整理を行った。③児童の思考力・判断力の発達に焦点を当てた授業研究の手続きについて検討した。 次年度は,引き続き先行研究の分析・整理を行うと共に,児童の思考力・判断力の発達に焦点を当てた授業研究について研究協力者及び研究協力校の管理職と実施計画について協議を行い,実験的授業を準備する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,上述したように児童の思考力・判断力の発達と形成に関する先行研究の分析・整理と次年度以降に行う授業研究の実施計画を研究協力者と行った。コロナ禍にあり,資料収集を目的とした授業観察や授業の記録・分析が十分にはできなかった。また授業研究の実施計画について,対面による研究協力者等との検討ができなかったため,オンライン等を活用して研究計画の概略について協議するにとどまった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究の進捗状況を踏まえて次の研究を行う。①児童の思考力・判断力の発達と形成に関する国内外の著書・論文・資料の収集と分析を更に進め,発達に焦点を当てた思考力・判断力を育成するための基礎理論を検討すること。②小学生の思考力・判断力の発達を促進(形成)する条件及び指導方略を検討すること。③思考力・判断力の発達と形成に関する基礎理論に基づき授業仮説を検討するとともに,実験的授業の実施計画を具体的かつ詳細に検討すること。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大の影響のため,児童の思考力・判断力に関する授業観察,記録分析のための費用および,資料収集を目的とする学会参加のための旅費が計画より少なかったためである。次年度以降に行う資料収集及び小学生を対象とした実験的授業の実施・分析(含む調査)のための物品等の購入に関わる予算として繰り越した。
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