研究課題/領域番号 |
21K02580
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
幾田 伸司 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00320010)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国語教科書 / 説明的文章 / 教材史 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後中学校国語教科書に採録された説明的文章教材を対象として、学習者に提示されてきた教育内容の変遷を検討し、教材を通して具体化されている説明的文章カリキュラムを明らかにすることを目的としている。本研究で扱う教育内容とは、教材の題材や叙述内容、筆者の意見を通して学習者に提示される価値観や認識、文章構成、学習者に育てたい論理的思考力なども含んだ、学習内容全般を想定している。 本年度は、教育内容の全体像を把握するための基礎資料として、説明的文章教材に関する情報を一覧にしたデータベースの作成を行った。データベースの作成にあたっては、小学校教材での調査項目を参照し、教材名、筆者、採録年度の他、題材・内容、文章構成、筆者の主張等の情報を加え、教材に叙述された内容の概要が把握できるようにしている。本年度は昭和期に発行された教科書に採録された教材の収集と整理をほぼ終え、平成期の教材にとりかかっている。 データベースの作成と並行して、教材名、筆者、採録期間、採録学年のデータに基づく教材の採録傾向について量的考察を行い、教科書教材全体の中での説明的文章の位置づけと採録教材の傾向の検討を進めた。合わせて、教材に扱われている題材・トピックの分類・整理を行い、教材傾向の変遷についての概観を行った。なお、一つの教材が複数のトピックを扱っていることも多く、一次的に分類した類型について適宜見直しを行うなど、データベースの整備作業も平行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、教材本文の収集と、中学校説明的文章教材データベースの作成を目標とした。 調査項目は、小学校教材について作成したデータベースを参照し、採録教科書、筆者、採録年度、題材、構成、筆者の意見としている。現在、昭和24年度から昭和61年度までの目録作成を終え、教材採録状況の集計・分析を行っている。 一方でコロナ禍による行動自粛の影響で、教科書図書館等での教材調査が実施できず、一部の教科書のデータが欠落している。また、平成期以降の目録の作成も、当初の予定よりは若干遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
データベースの作成については、可能になり次第、教科書図書館等での調査を実施し、欠落している情報を補うこととしている。 カリキュラムの考察にあたっては、教材ジャンルがある程度安定している昭和40年代以降から検討を進めることとしている。採録数、筆者、採録期間、題材を対象とした量的な分析を通して、同時代に取り上げられるトピックの概観を進めており、今後、そうした題材が選ばれる背景を検討する。 そうした全体的な教材傾向とは別に、相対的に長期にわたって採録さてている教材について、内容や文言の付加・削除、書き換えなど、本文の改変を検討し、指導事項の異同を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による行動自粛のため、教科書研究センター等で予定していた2回の教材調査が実施できなかった。今年度、移動が可能になった場合には、前年度に実施できなかった分も含めて、回数を増やして教材調査を行う予定にしている。引き続き移動を伴う調査が難しい場合は、調査可能な立地にある図書館、教育センターで可能な限り教材の調査・収集を行う。
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