研究課題/領域番号 |
21K02587
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
浅野 由子 日本女子大学, 家政学部, 講師 (80508325)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SDGs / ユース / アクティブ・ラーニング / 質の高い教育 / 対話 / 体験 / 主体 / 連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、スウェーデンと日本の若者(ユース)の「アクティブ・ラーニング」(主体的・対話的・深い学び) に着目し、グローバルとローカルの持続可能性の政策転換の可能性を明らかにすることが目的である。採取的には、両国のユースの「アクティブ・ラーニング」の現状明らかにを比較検討することで、国連の持続可能開発目標(SDG)sにおける4番目の目標である「質の高い教育」の内容を、国際的な視点から具体的に検討することにする。SDGsの4項目「質の高い教育」にも関連するこれからの学びは、量と同時に質が重視され、「何(WHAT)を学ぶか」だけでなく「どう(HOW)学ぶか」に着目する必要がある。それは、学校内の教師主導による知識伝授型の伝統的な学習の方法だけでなく、学校外(家庭や地域)の関係者による協働作業型の進歩的な学習の方法を探るものである。これまでの先行研究である基盤研究C「グローバルとローカルの持続可能性を融合するGAPのモデル開発」の内容をより発展させ、最終的には、喫緊の課題である地域の活性化、つまりは「地方創生」の課題へと発展させることができる。研究対象とするのは、ウプサラ市と岡山市のユースの企画・運営する地域のイベントやワークショップである。研究期間は3年間とし、岡山市での調査を、年度内3回(春、秋、冬)、ウプサラ市での調査を年度内2回(夏・春)企画している。研究方法は、エスノグラフィー的手法(異文化理解に必要な参与観察やインタビュー調査、アンケート調査)によるアクション・リサーチとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SDGs(持続可能開発目標)の国際比較をする上で重要なユースの活動に焦点を当てて調査をした。コロナ禍でもあった為、オンライン調査が主であったが、対象とするスウェーデンウプサラ市の副市長はじめ持続可能課やウプサラ大学教育学部の教員への聞き取り調査、日本の岡山市のESD推進課と委員会の活動について、岡山大学の地域総合研究センターの教員への聞き取り調査により、両市のSDGsに関するユースの活動実態を明らかにした。特に、ユースを中心とした活動が、学校教育・企業、民間団体の連携を強化し、地域の持続可能性に大きく関与している現状が明らかとなった。特に、ウプサラ大学教育学部教員への聞き取り調査では、「コミュニティー・ベースド・ラーニング」を地元の図書館等と連携することにより、オンラインを活用した新しい学びの場を開発していることが明らかとなった。岡山大学地域総合センターの聞き取り調査では、若者が地元の公民館といった拠点施設に主体的に出向き、地域の課題解決の方法を、「対話」により明らかにし、地域の活性化を試みるといった体験型の「アクティブ・ラーニング」を活性化している現状が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
オンライン調査のみならず2021年に実施する予定であった岡山市のフィールド調査(夏・冬)に行う。その際に、SDGsの未来都市となっている真庭市にも出向き、活動を調査する。岡山大学が中心となっているユース参加によるまちづくりについての研究会に参加し、政策的な視点等の学際的な視点から研究の視野を深める。またスウェーデンでのフィールド調査(夏・春)も実施する。具体的には、現地でのユースのワークショップやイベントにて、キーパーソンにインタビュー調査を行い、参加者へのアンケート調査も含めて、ユースの活動の現状を明らかにする。特に、「アクティブ・ラーニング」の国際比較をする為に、対象都市(ウプサラ・岡山)におけるSDGsの目標を政策レベルで分類し、教育レベルで多様なユースの活動との関連性を明らかにする。最終的には、収集したデーターを、「5つの視点の環境認識論的モデル」から分析・考察し、それぞれの地域における持続可能性の到達度を、指標により比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の為、フィールド調査を実施することが困難であったことと、会議やワークショップがあってもオンライン開催となった為、経費を使用する必要がなかった。今後は、フィールド調査を開始し、旅費や調査に必要な電子機器、データーの収集や処理、整理に必要な人材費に充てる予定である。
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備考 |
(1)「持続可能な社会における保育の意義ースウェーデンでの生活を通してー」(日本女子大学 生涯学習センター)(2)「SDGsとこども―家庭・地域・地球環境から―」(日本女子大学 地域連携センター)(3)「森のようちえんと地方創生 ~地方の豊かな自然を活かす~」【「森のようちえん全国交流フォーラムin奈良」「いのちの力 スイッチON!~幸福度が高まる保育・教育・社会を共に見つめる2カ月~」】
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