研究課題/領域番号 |
21K02609
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
江島 顕一 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (70711646)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 修身科 / 師範学校 / 修身科教科書 / 修身科教授理論 / 修身科教育課程 |
研究実績の概要 |
本研究は、師範学校の修身科教科書を収集・整理するとともに、それらの内容分析を通じて、戦前の教員養成課程における修身科教授理論の歴史的展開を究明することを目的としている。 初年度にあたる本年度(2021年度)は、師範学校の修身科教科書リスト(総合目録)の作成を主な研究課題内容とした。具体的には、全国の師範学校において指定あるいは使用されていた修身科教科書を調査し、そのリスト(総合目録)を作成することであった。師範学校の修身科教科書は、後進の大学図書館をはじめ、各機関に所蔵されている。本年度(2021年度)は、主として大学以外の機関(図書館を含む)を対象とし、まずそれらの図書所蔵目録やデータベース等を調査した。次にそこで得られた書誌情報を参照し、師範学校の修身科教科書の書誌情報を整理するとともに、目録としてリスト化することを行った。 また、明治後期において広く普及し、実際に師範学校にて多用されていたといわれる修身科の指導書を2冊取り上げ、それらの内容分析を行い、指導法と評価法の相違点及び独自性を明らかにした。明治後期において、修身科の指導書は様々に刊行され、その理論的研究が進展していたことがあらためて確認できた。 次年度(2022年度)は、収集した書誌情報を体系的に整理するとともに、さらなる調査を進めて目録の精度と確度を上げていくこととする。また引き続き、実際の修身科教科書(指導書)の内容分析を行い、次年度以降の研究課題内容の予備的調査を進めることとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる本年度(2021年度)は、師範学校の修身科教科書の各機関における所蔵情報の調査と、それに基づく書誌情報の整理及びリスト化を行う計画であったが、おおむね順調に進んだ。 具体的には、主として国立国会図書館、国立教育政策研究所附属図書館、東京書籍株式会社附設教科書図書館東書文庫等に所蔵されている修身科教科書の所蔵情報を調査した。所蔵情報は広範囲に収集でき、同時に小学校や中等学校の修身科教科書の書誌情報も得ることができた。 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出のため、所蔵機関への現地訪問と現物閲覧は制限があり、十分に行えなかった。今後の状況を注視しながら、次年度(2022年度)はフィールドワークとしての調査を進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(2021年度)に引き続き、今後も師範学校の修身科教科書の所蔵情報の調査と、それに基づく書誌情報の整理及びリスト化を行っていくが、①調査対象の所蔵機関を広げること(大学図書館を含む)②作成した既存のデータを様々なバーションで体系化し、内容の充実を図ること、の2点を行いながら研究を進める。 また、師範学校の修身科教科書を古書、複写、電子データ等の形態別に収集していく。今後の新型コロナウイルスの感染状況次第であるが、資料によっては所蔵機関に直接赴いて入手する。 そして、収集、入手した教科書については、その普及度や使用度、内容構成等を踏まえながら、いくつかピックアップしたものについて内容分析を行い、修身科の指導法や評価法についての考察を行い、修身科教授理論の一端を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、移動制限等があり、各機関への訪問や資料の直接的な調査・収集などを行うことができず、古書の購入代、複写代やそれに伴う旅費、交通費を支出する機会がなかったことから、予定していた予算を十分に執行することができなかった。 今後の状況が好転した場合は、現地調査や現物調査を行うこととする。 また、次年度以降は電子データの保存とその電子データ量の増大が見込まれることから、本年度使用予定の予算を次年度に充当する。
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