研究課題/領域番号 |
21K02615
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
山田 真紀 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (30329643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 特別活動 / COVID-19 / 新型コロナウィルス感染症 / 学校行事 / 学校生活の変容 |
研究実績の概要 |
新型コロナ禍下において、特別活動に属する諸活動は、「中止」「規模縮小」「例年とは異なる形態での実施」など、変容を余儀なくされた。こうした特別活動の変容が子供達の学校生活をどのように変えたのかを明らかにするのが本研究の目的である。 2022年度はコロナ禍が子ども達の学校生活をどのように変えたのかを知る題材として卒業文集を取り上げ、コロナ前とコロナ禍中を比較することで、子ども達の「学校生活の思い出」が、特に特別活動との関連においてどのように変容したのかを明らかにした。 その結果、①コロナ前は「あるのが当たり前」だった特別活動に対して、子ども達は素朴に「楽しい」「思い出」と記述していたのに対し、②コロナ1年目は「当たり前だったことができない」現実を前に、「何のためにやるのか?」「何ができたらいいのか?」を考え、「できることを精一杯やる」ところに感謝・感動・学びを示していた。特に苦労の多かった集団宿泊行事や学校行事が「印象深いもの」として記述される傾向にあった。③コロナ2年目には、順応性の高い(視野がまだ狭い)小学生にとって「withコロナ」は日常となり、コロナに関する記述はなくなるが、学校行事などのイベントの記述が「楽しい」「思い出」に留まらず、そこからの成長や学びを内省的に記述するものが増加した。これらの知見から、コロナ禍が終了した後、特別活動を「従前に戻す」あるいは「Withコロナの簡易版をデフォルトにする」のではなく、「何を何のために行うのか」を「育てたい子どもの姿」との関わりで再構築することが必要であると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に「コロナ禍が特別活動をどう変容させたのか」を明らかにするフィールドワークを行い、その成果を論文化することができた。2年目に「子どもが学校生活や特別活動の変容をどのように解釈しているか」を知るために、卒業文集を分析し、その成果を学会発表で公表することができた。以上のように、概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の最終年度となる。2023年5月8日をもって新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は感染症分類において5類となり、実質的にCOVID-19による異常事態は終焉を迎えた。しかしこの3年間のCOVID-19による異常事態のもとで、特別活動は大きく変容し、アフターコロナの今も従前に戻ることなく、新しい形として学校生活に定着しつつある。最終年度には、この3年間が特別活動をどう変容させ、その変容のポジティブな面とネガティブな面はどこにあり、今後、どのような形で継承されようとしているのかを明らかにする研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度(1年目)に購入する予定のノート型パソコンが、COVID-19によるパソコン需要の急増により、予定の価格で購入できなくなったことから購入を見合わせ、それにより積み残しが生じました。 本年度(2年目)の支出は、研究計画立案当初と同じ額となりましたが、1年目の積み残しがそのまま残っているため、収支簿上は余剰が生じているようにみえます。コロナ禍が落ち着いた3年目に予定していたノート型パソコンを購入する予定です。
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