研究課題/領域番号 |
21K02623
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
藤原 宏司 山形大学, 法人本部, 教授 (30790563)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 教育プログラム分類コード / CIP / 海外大学におけるデータ管理 / 海外における大学経営 / Institutional Research / IR |
研究実績の概要 |
本研究の2年目となる2022年度は、以下の研究活動を実施した。 (1)前年度に引き続き、米国における教育プログラムの分類コードである「CIP (Classification of Instructional Programs)」の最新バージョン(The 2020 CIP)の変更点に関する分析を行なった。また、カナダにおける教育プログラムの分類コード「CIP Canada 2016」との比較分析を開始した。 (2)米国の大学に勤務するIR(Institutional Research)担当者に、メールでインタビューを行い、最新バージョンの一つ手前である「The 2010 CIP」との互換性や、「データ集計」および「レポーティング」等に及ぼした影響等について、意見を伺った。これは、研究代表者が米国の大学にIR担当者として勤務し始めた時が丁度「The 2000 CIP」から「The 2010 CIP」への転換期であり、当時、学内で運用していたデータベースの仕様変更等、様々な問題が起きたことから、当初の研究計画には無かったが、急遽追加したものである。 (3)本研究では、CIPにおける大分類である「01: 農学に関連する分野」を主たる研究対象としているが、「2010 CIP」および「2020 CIP」に関して、日本の大学で農学の博士号を取得した研究協力者と共に、米国CIPを日本で直接運用できるかについて、分野ごとの「詳細な」検討を開始した。また、一研究者からの意見だけではなく、農学における他分野の研究者や、日本の大学におけるマネジメント層(例えば、農学部長)へのインタビューも必要ではないか、との結論に至り、これを、2023年度に実施することとした。 (4)CIPの重要性について、IRに関する講演や、研究代表者がディレクターを担当しているIR履修証明プログラム等で情報提供を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、実際にCIPを開発した米国教育省のNCES(National Center for Education Statistics: 米国教育統計センター)やカナダの「Statistics Canada: カナダ統計局」に赴き、実地調査を実施する予定であったが、研究代表者の病気や、渡航費の高騰が続き、実現の目処が立っていない。以上のことから「やや遅れている」という区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)2023年度は、新型コロナウィルス感染拡大に伴う国内外への移動制限が撤廃されたことから、米国における「CIP」の開発過程およびカナダにおける「カナダ版CIP」の開発・導入までのプロセスを、実際に現地に赴いて調査を行いたい。オンラインを通じて「ある程度」の調査は行えていると認識しているが、CIPについて「正しく理解」するためには、対面での調査が必要だと考えている。これは、研究代表者の体調や、渡航費の推移を見極めながら適切な時期を選択したい。 (2)「研究実績の概要」にも記載したが、日本国内における農学研究者へのインタビュー調査をより充実させる。この件に関しては、某大規模研究系大学における農学部長を始めとして、農学を専門とする研究者や教員へのインタビューが現時点で数件決定している。このインタビュー調査を通じて「米国版CIPにおける農学分野の整理体系や定義」および「カナダ版CIPにおける同分野の整理体系等」と、日本における「農学分野」の比較がより正確にできるため、適用可能性の検討等について、大きく前進できる。 (3)日本では、米国やカナダにおける教育行政機関や大学等が、「CIP」というデータ集計の「基盤」用いて、効率的に教育プログラムおよび学業修了状況等の現況把握を行なっている、ということについて広く周知されていない。結果、日本の多くの大学等では、前時代的ともいえる他部署への「照会作業」が未だに行われているのではなかろうか。(米国でCIPが最初に開発されたのは、約40年前である。)よって、2023年度は、より積極的に「CIPの有用性や重要性」について、周知活動を行なっていきたい。その一歩として、 研究代表者が責任者を務める、山形大学「IR(Institutional Research)担当者向け実践プログラム」にて、CIPに関する科目を設置することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大に伴う国内外への移動制限により、旅費を必要とする研究活動を実施しなかったため。
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