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2021 年度 実施状況報告書

組織文化の変容プロセスに注目した大学ガバナンス改革の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K02629
研究機関立命館大学

研究代表者

中島 英博  立命館大学, 教育開発推進機構, 教授 (20345862)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード組織文化 / 組織学習 / 大学改革
研究実績の概要

本研究は、大学教員の教育活動を通した学習経験と、教員間の社会的ダイナミクスを考慮することで、ボトムアップの大学組織変容を可能とする条件を明示することを目的としている。すなわち、(1)ガバナンスの改革では諸制度の変更以上に、教職員の使用する言語の変化が重要であることを明らかにすること、(2)言語に注目した組織文化変革を通して、大学組織変革における実践的な対案を提示することの2点を中心的な問いとした研究を行う。
初年度は、大学改革に関連する業務に参画する教職員が、業務を通じてどのような言語を使うように変化したか、および、そうした教職員は、改革に参画しない教職員との間で、摩擦や葛藤を経験したのかを実証的に明らかにする調査に取り組んだ。具体的には、国外の共同研究者の協力を得て、米国の州立大学4大学、国内の国立大学2大学で、外部資金獲得に伴う教育改革業務に参画した教職員および参画経験のない教職員を対象に、業務経験を聞き取る調査を行った。
暫定的な結論は、以下の通りである。第1に、大学組織内において社会的に構築された歴史的パターンは専門化ロジックであったが、2000年以降の政府や外部資金による教育改革は、大学組織に市場ロジックの浸透をもたらしたと言える。第2に、一方で、大学組織のパターンは完全に市場ロジックによって置き換えられたとは言えず、教職員の葛藤や調整によって、複数のロジックを並存させるよう、日々の実践が重ねられている。これは、大学の組織文化は強固であり、簡単に変化しないことを示唆している。ただし、複数のロジックを並存させるには、教職員による調整負担が大きく、長期において並存されるかは不明確である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度は研究代表者の所属機関変更に伴い、本務のエフォートを増やし、本研究課題のエフォートを減らしたために、進捗がやや遅れることとなった。しかし、2021年度後半には、国外の共同研究者との共同調査や共著を進めることができ、わずかな遅れにとどめることができた。

今後の研究の推進方策

初年度は暫定的であるものの、大学の組織文化の変容プロセスを理解する上で重要な示唆を得られたと考える。特に、大学組織の文化は強固であり、簡単には変化しないものの、異なるロジックの導入により、教職員の意味づけの負荷が高まり、混乱や葛藤を経験していることが示唆された。
併存型制度ロジックの研究では、重要な分析視角として互換性と中心性という2つの見方がある。今後の研究では、大学内で2つのロジックがどのようなプロセスによって連携を保っているかを明らかにする調査を計画する。また、研究協力者を通じて米国の大学での調査を行う用意があり、比較研究にも取り組む。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の状況をふまえ、聞き取り調査をオンラインで行ったため、調査のための旅費の執行ができなくなった。また、研究成果報告として、国際会議での報告を予定していたが、新型コロナウイルス感染症のために中止・延期となり、旅費等の支出が延期された。
現時点では次年度の国際会議は開催予定と発表されており、翌年度分の助成金と合わせて使用する。また、オンラインによる聞き取り機会が増えていることから、機微な情報を含む録画・音声を安全に保存するためのPC整備等を進める。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Corporatization of higher education and the organizational culture of universities2022

    • 著者名/発表者名
      Dee, J. and Nakajima, H.
    • 学会等名
      Open seminar at department of leadership in education, University of Massachusetts Boston

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公開日: 2022-12-28  

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