研究課題/領域番号 |
21K02632
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣森 聡仁 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (90506544)
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研究分担者 |
望月 麻友美 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (10791733)
川嶋 太津夫 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 特任教授(常勤) (20177679)
和嶋 雄一郎 大阪大学, 高等教育・入試研究開発センター, 准教授 (20572093)
岡嶋 裕子 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (50761649)
藤井 翔太 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (80738964)
松村 悠子 大阪大学, 人間科学研究科, 特任助教(常勤) (80832063)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学運営 / 研究力分析 |
研究実績の概要 |
活動項目として挙げていた「教育活動と研究成果の関係性についての分析」においては,研究力育成として,学部生に対する教育を捉えた際,専門的な知識や技術をベースとなることに加え,コミュニケーション力やリーダーシップ、問題解決力なども必要であるという点は国内外で共通して強調されている点であることを確認した.大阪大学においても,研究力の育成に着目した教育プログラム等の実施が進んでおり,博士課程教育リーディングプログラムなどのいくつかのプログラムにおいては,これらのプログラムにおける諸活動は個人IDに紐付いたデータとして管理されており,教育成果、運営状況(プロセス) 、コストの3つの視点から,教育データ,研究データ,財務データを組み合わせた分析を行なわれている.しかしながら,これらの教育プログラムは全学的に実施されていないものもあり,大学全体としてその教育効果を把握できていない状況にあり,これらの課題を整理し,大学全体として把握すべき諸活動について検討をすすめた. 「学生の教育活動及び研究活動に関わるデータベースの構築」においては,学内外のデータを統合し,多面的な分析を実現できる環境を構築した.また,学生を特定する学籍番号により管理されていない場合も多く,同一人物であることを特定し,紐付ける作業「名寄せ」が必要となる.異なるシステム間の名寄においては,個人情報の粒度が異なっており,名寄せを実施するシステムでそれぞれ保持する個人情報に関わる項目に応じて,名寄せ方針を個別に策定する必要がある.氏名に関わる項目を,漢字氏名,カナ氏名,英氏名として分類するとともに,新字や旧字の扱い,表記ミスなどの表記を正規化し,異なる粒度の個人情報に対して,名寄せを実施するプログラムを開発した.また,クラウド環境を利用することで,数十万規模の対象者に対する名寄せを,数十分程度で処理できる環境を構築している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の取組においては,名寄せ技術の開発に従事し,名寄せ技術を活用したデータ分析は,一部に留まっている.多数の対象者に対しても,短時間で名寄せが実施できる環境が構築できており,今後はこれを活用し,様々なデータの組み合わせに対するデータ分析を実施できる見込みであり,研究は概ね順調に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
日本の研究力の低下が指摘され始めてから,研究力の強化,研究人材の育成のために,様々な答申や報告書が出され,それを受けた施策が実施されてきている.これらの流れは,従来の研究機関としての大学・大学院では,ある特定の分野でのトップを目指すために,学部から専門性を高めるような教育が意識されていた.そのような社会の中で発生する問題を解決していくためには,専門性が高いだけではなく,専門分野の枠を超え,俯瞰力や独創力などを持った人材が必要とされるようになった.大阪大学においても,博士課程教育リーディングプログラムが実施されているが,それに加えて,初年時教育において他学部の学生と研究志向のワークを行なうような科目が必修化され,また,学部高年次,大学院が専門分野の枠を超えて様々な科目が履修できるような科目(高度教養科目)を展開している.一方で,研究力の強化を目指したこれらの施策が,本当に研究力を上げているのか,また,それらの施策が研究力を上げているとして,施策間の影響や効果の関連性について十分な検証が行なわれていない状況である.本申請においては,様々な施策がどのような成果を挙げているかを定量的もしくは定性的に把握するために,大学・大学院での教育による成果の一つである研究力を対象とし,まず,「入学前から卒業・修了、社会人としての活動」のなかでも,「教育効果につながる教育活動及び研究活動の把握」に取り組む.その後,教育プロセスと研究パフォーマンスの関係の分析のため,「教育効果として得られる研究力に対する分析」に取り組む.これらの取り組みと併せ,大学全体の研究力にしめる学生の影響力を把握し,研究力の向上に繋げる施策の立案のため,「教育活動及び研究活動に関わる運用コストの分析」に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度においては,他機関における調査を予定していたが,コロナ禍のため,対外的な取組であったため,旅費としての経費の支出がなかった.2022年度においては,コロナ禍の動向を見つつ,対外的な取組を積極的にすすめる予定である.
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