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2022 年度 実施状況報告書

初年次の要約文作成過程における学習方略の策定と気づきを促すルーブリック評価の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K02641
研究機関大阪観光大学

研究代表者

湯浅 千映子  大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (10758791)

研究分担者 小森 三恵  大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (50388683)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード要約文 / アカデミック・ライティング / 初年次教育 / ルーブリック / 自己評価
研究実績の概要

本研究は、日本人大学生と学部留学生が大学初年次に経験するアカデミック・ライティングスキル習得の段階的な過程(情報探索、資料の読解、引用、レポート作成)において、「要約」が必要とされる点に着目する。本研究の目的は、初年次学生が「要約力」を活かして、レポートなどの学術的文章を書き、「学修」を深めるための指導の方向性を示すことである。具体的には、日本人大学生と学部留学生を調査協力者とする「要約文調査」を実施し、学生が書いた要約文データを比較・分析することで、学生がどのような学習方略を用いて要約文を書いているか、学生がより良い要約文を書くためにどのような学習方略が必要かを明らかにする。さらに、その学習方略にもとづき、学生自身が書いた要約文をモニタリング・自己点検ができる「ルーブリック評価表」を策定する。
本年度も、前年度に引き続き、「要約文調査」を実施した。前年度の調査資料とは別の新聞社説を原文とし、文章全体を読み、その概要をまとめる「大意」と、文章中の主題文を用いてまとめる「要旨」という長さの異なる2種の要約文を書いてもらった。また、前年度と同様、見出しの有無や見出し内容のちがいが原文の理解や要約文の表現に影響するか否かを見るべく、「見出し無し群」、「見出し有り群(原文の社説と同じ見出し有り/原文の社説とは異なる、主題文から考えた見出し有り)」に分けて、要約文を収集した。
現在、要約文の筆記データをテキスト化した上で、大学の講義の談話構造を分析した佐久間まゆみ(2010)の分析方法に従い、原文と要約文の文章それぞれを分析単位(「情報伝達単位(CU)」)によって区分し、原文と要約文を照合させ、学生が原文の文章構造や文章内容をどのように理解したのか(学生の理解した内容が要約文中にどのように残存するのか)について、CUの出現頻度と出現した形を分析し、要約文の表現類型を見ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

大学初年次の日本人大学生と学部留学生(各回計100名以上・一部学部2年生を含む)を調査協力者とし、前後期に第2回・第3回の「要約文調査」を実施し、前年度のデータを合わせ、さらにまとまった量の要約文データを収集することができた。現在、計3回の要約文筆記データをテキスト化し、それらの要約文に「情報伝達単位(CU)」を付与し、要約文データの整理を行っている。同時に、要約文中に見られる「情報伝達単位(CU)」の出現傾向から日本人大学生と学部留学生の要約文の特徴とその表現類型を比較・分析している。
また、要約文を書いた調査協力者の学生に対し、当該の要約文を書いた理由や要約文を書く際に心掛けていることなどをたずねるフォローアップインタビューにも着手した。
以上の成果をもとに、学会の口頭発表1件を行い、また、学術論文1本を発表した。

今後の研究の推進方策

次年度も「要約文の収集・調査・分析」を続ける。日本人大学生と学部留学生を調査協力者とする「要約文調査」を次年度も実施予定である。前年度までの調査で収集した要約文データの分析も進め、大学初年次の日本人大学生と学部留学生の書く要約文の表現類型を定める。
また、「要約文の妥当性調査」(「要約文調査」で得られた要約例の中から適切に要約されたと思う要約文を選ぶ)や「口頭要約調査」(要約した内容を話して説明する)を行い、学生の原文の理解度を見ていく。
さらに、大学教員や日本語教員を要約文の評価者とし、「要約文調査」の複数の要約例の中から「望ましい要約文」を選定してもらい、要約例それぞれについて、その評価の基準をたずねる「要約文の評価調査」も行う。
以上の調査とその分析結果をもとにして、本研究の課題である「要約の学習方略の提示」と「要約のルーブリック評価の選定」につなげる。

次年度使用額が生じた理由

前年度の対面授業への再開の遅れなどから、本年度より要約文調査と分析に本格的に着手した。本年度は、計3回にわたって行った要約文データの収集と整理、分析が中心となった。
現在は、分析結果をふまえ、調査協力者の学生や指導する側の教員に対し、要約文の理解や評価についてたずねる調査の実施に向け、調査項目や調査方法を検討するなどの準備段階にとどまっている。そのため、調査に伴う謝金などの支出がなかった。また、分析した成果を学会に参加して口頭発表をしたが、オンライン開催のため、学会出張の渡航費や滞在費の支出もなかった。
本年度使用予定だった金額は、次年度に行う調査の謝金や学会発表時の旅費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 学部留学生と日本語母語話者の大学生の新聞社説の要約文の比較―40 字要約文から見た主題文の把握―2023

    • 著者名/発表者名
      湯浅千映子
    • 雑誌名

      『さいたま言語研究』

      巻: 7 ページ: 136-151

    • 査読あり
  • [学会発表] CEFR-CV(2018)のMediation(仲介活動)に見る「要約」 -アカデミック・ジャパニーズとの関係の中で-2022

    • 著者名/発表者名
      湯浅千映子
    • 学会等名
      韓国日語教育学会第42回国際学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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