研究課題/領域番号 |
21K02655
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研究機関 | 北陸大学 |
研究代表者 |
杉森 公一 北陸大学, 高等教育推進センター, 教授 (40581632)
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研究分担者 |
西野 毅朗 京都橘大学, 経営学部, 専任講師 (20781602)
吉田 博 徳島大学, 高等教育研究センター, 准教授 (80619908)
竹中 喜一 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 講師 (80834100)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ファカルティ・ディベロップメント / 大学教育センター / CTL / アセスメント |
研究実績の概要 |
本研究では、日本版CTLアセスメント基準の策定を通して、理論的・実践的基盤を提案するとともに、教育開発者(ディベロッパー)と大学教育センター等(CTL)にかかる組織構造・資源分配とインフラ・プログラムとサービスの重層的指標に基づいた教育開発の質的研究から、次代の大学教育を支える教育開発の在り方を提起することを目的としている。当該年度は研究計画の1年目にあたる。 第一の実績として、米国教育評議会(ACE)& POD Networkが開発した「A Center for Teaching and Learning Matrix」を直訳版そして意訳版、さらに日本版へと昇華させた「日本版CTLアセスメント基準」ならびに本基準活用のための「活用ガイドライン」の策定に至った。 第二の実績として、策定した基準とガイドラインを活用した研究会を開催し、基準による評価適切性、CTLの改善可能性、基準の活用可能性についても検討を行った。その結果、1)基準そのものは概ね問題ないものの、評価者によって評価結果に違いが生じる可能性があることから根拠資料を明らかにする必要があること、2)CTLの改善を推進するためにはガイドブックや事例集の作成が有効であろうということ、3)自己評価やベンチマーク、組織内外における対話のツールと活用でき、さらにはCTLだけでなく他のセンターや部局にも応用できる可能性が示唆された。本成果は「高等教育開発」誌に査読付論文として掲載された他、大学教育研究フォーラム発表論文集にも掲載されている。 第三の実績として、基準を活用した事例やベストプラクティスの収集に向け、共同研究者が自身の組織を評価した結果をまとめ、JAED研究会や大学教育研究フォーラムにて報告した。そして同機会を通じて、参加者の中から研究計画2年目のインタビュー調査への協力者が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度では、2つの柱で研究を進める計画であった。第1に、CTLマトリクスの分析と、教育開発を支える理論的枠組みの検証である。これについては、米国教育評議会(ACE)& POD Networkが開発した「A Center for Teaching and Learning Matrix」を分析し、日本版CTLアセスメント基準を策定するための基盤として活用することができた。一方、本成果をPODネットワーク年次大会にて報告することを計画していたが、それが叶わなかったため令和4年度に開催されるICED(The International Consortium for Educational Development)年次大会にて報告する予定である。第2に、日本版CTLアセスメント基準の開発である。こちらは、令和3年9月に公開研究会を開催し、フォーカスグループディスカッション(FGD)の手法をもちいることでCTL関係者による開発成果の検証まで行うことができた。また、令和4年3月に開催された大学教育研究フォーラム等も活用し、令和4年度中に実施予定のインタビュー協力者を集めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も、2つの柱で研究を推進する計画である。第1に、海外への報告ならびに追加調査の実施である。5月に開催されるICEDにて日本版CTLアセスメント基準の開発報告を予定している。また新型コロナウィルス感染症問題の状況次第にはなるが、米国CTL(タフツ大学等)へのインタビュー調査を行い、日本版CTLアセスメント基準の妥当性を海外の視点から検証することを試みる。第2に、国内のCTL関係者に対するインタビュー調査に基づく質的研究の実施である。令和3年度に得た研究協力者に対し、基準を用いたアセスメントの結果や成果についてインタビューを行うことによって、CTLそのものの開発事例を可視化し、CTLを入初していくためのガイドブックや事例集を作成するための根拠資料としていきたい。同時に、必要に応じて基準やガイドラインの更新も試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響により、国外調査は実施できず、国際学会(POD Network)へのオンライン参加に代えた。
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