研究課題/領域番号 |
21K02661
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
喜村 仁詞 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30749429)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大学満足度向上 / 愛校心 / 自校教育 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、先行研究のレビューに基づき、以下の2点の大学満足度向上に関連する特徴的な取り組みの抽出に取り組んだ。 第1は、Ciniiや各学会誌等の先行研究、関係者への聴き取り等により、特徴的な取り組みとして以下の2点のプログラムを抽出し現地調査を実施した点である。 ①香川大学が実施する香川大学検定作成の取り組みである。このプログラムは初年次教育の中で実施されており、学生たちが授業内に考案した自大学に関するクイズを香川大学検定として取りまとめたものである。学生たちが学内を調査しクイズを作成することで自大学への理解を深めることのみならず、冊子としても2009年から2012年までの4年間発刊されており、入学者のみならず受験生にも公開されるなど、香川大学への理解を深めるツールとして機能している。②神戸親和女子大学が実施する学内教職員や先輩などへのインタビュー(親和インタビュー)である。神戸親和女子大学では、初年次教育の授業の中で、グループで先輩や教職員へのインタビューを実施し、その内容をグループで取りまとめ発表する取り組みを行っている。これにより、新入生がまだ知らない自大学の取り組みや制度、魅力などを知ることで、学生生活により前向きに取り組む契機としている。 これら事例の共通点は、いずれも自大学の内容をより深く理解する点であり、このことは筆者のこれまでの研究成果と合致することが明らかになった。 そして第2は、自大学への理解を深める成果を持つ自校教育に着目した点である。自校教育については、管見の限り、これまで2度にわたって全国調査が行われてきた。そこで本研究では最新の調査結果から大学満足度向上に資するプログラムの抽出を試みるために研究者への聞き取り調査を実施した。そして、今後、当該研究成果に基づき研究を進めていくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に実施した2事例(香川大学・神戸親和女子大学)の調査は、これまでの自身の研究成果から導出した「在学生は大学の肯定的な情報を入手することで大学満足度は向上する」という仮説の信頼性を高める結果となった。 しかし、一方で、在学生を対象とした自大学に関する肯定的な情報の発信に関する取り組みは、その多くが各大学の教育課程の中で独自に実施されており、先行研究として公表されているものは少ない状況にあることも明らかになった。 そこで着目したのが自校教育である。自校教育の多くは初年次教育として実施されていることから、各大学のシラバスからその内容を丹念に確認していくことが必要である。そのため、最新の自校教育の全国調査結果から、大学満足度と密接な関連性を持つ愛校心を向上させることを目的としたプログラムや、愛校心度向上に繋がるプログラムの抽出を今後行っていくことにした。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、自校教育の実施目的に着目し、大学満足度と密接な関連性を持つ「愛校心」の向上を目的としたプログラムの抽出を行う。実施目的を分析することで、直接的に愛校心を向上させることを目的としたプログラムのみならず、間接的に愛校心の向上に資するプログラムの抽出を行い、これらの類型化に取り組む。これにより、自校教育における大学満足度を向上させるプログラムを明らかにする。そして、令和5年度にかけて、類型化したプログラム群の中から調査対象を抽出し現地調査を実施し、分析を行うことにより、大学満足度向上に関する理論化を試みる。
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