研究課題/領域番号 |
21K02661
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
喜村 仁詞 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30749429)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 大学満足度向上 / 愛校心 / 自校教育 |
研究実績の概要 |
研究計画書における令和4年度の計画は、大学満足度向上プログラムについて、既存研究や実践事例から該当するプログラムを抽出し現地調査を行うこと、そして効果的なコンテンツを特定し短期的・汎用性のあるプログラムを設計することである。そこで実施したのが以下の2点である。第1は、理論的研究を行うことで、本研究の有効性について更なる検証を行うこと、そして第2は、実践的な取り組みの調査研究である。 第1の理論的研究については、Festinger (1957)による認知的不協和理論に着目した。人は自分自身の内部に矛盾がないように努力するものであり、矛盾を感じた場合はそれを解消しようと、不協和を低減するための情報を積極的に探したり、反対に不協和を増大させる情報は進んで回避するようになるというものである。これを大学入学者に置き換えると、大学に不満を持つ学生は、自らで自大学の情報を収集することで不満を低減・解消しようとすると考えることができる。そのためにも、その機会を大学が提供することが重要であろう。 第2については、はじめに前年度に調査を行った神戸親和女子大学の令和4年度に実施されたプログラムの成果物について観察を行った。次に、2017年に実施された不破による自校教育に関する全国調査結果に基づき、大学満足度の向上に資するプログラムの抽出に取り組んだ。具体的には実施目的に着目し、コレスポンデンス分析を行った結果、「愛校心」に近接する項目として「現況理解」「自校史理解」「目的周知」「地域理解」の4項目を抽出した。さらに、これら5項目を目的とするプログラムのシラバスを精査し、受講生が能動的に取り組むプログラムとして演習や実習形式での取り組みの抽出を行った。その結果、①学内探索 ②自校理解 ③歌唱の3点の類型を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画当初の令和4年度の目標は、「短期間で愛校心の向上を図ることができるプログラム」を全国で実施されている自校教育の中から抽出し、現地調査を行うことであった。自校教育プログラムの実施目的を分析することで、愛校心の向上に寄与することを目的としたプログラムの抽出は行なえたものの、コロナ禍の影響のため、現地での聞き取り等調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度に「短期間で愛校心の向上を図ることができるプログラム」について3類型を抽出した。なお、本研究の目的である“汎用性のあるプログラムの開発”という点を踏まえ、今後は①学内探索 ②自校理解 に関するプログラムについて、現地調査を実施する。 そして、これら調査したプログラムの共通点を分析することで短期間で愛校心の向上を図るための要因を明らかにする。さらに、各プログラムの実施要項を定め試行することで愛校心が向上についての検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響のため、充分な現地調査が行えなかったこと、学会発表がオンラインになったためから、旅費の使用があまりできない状況であった。 令和5年度は、既に3大学への調査が決定している状況であり、学会への参加も予定している。
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