研究課題/領域番号 |
21K02662
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
天野 智水 琉球大学, グローバル教育支援機構, 准教授 (90346940)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学教員給与 |
研究実績の概要 |
本研究は業績評価結果を教員給与へ反映させる年俸制が導入された国立大学および所属教員を対象とした調査分析により,年俸制導入から何を期待できるのかを明らかにした上で,給与面を中心とした効果的な大学教員の人事管理・マネジメントに資する含意を得ることを目的とする. 今年度は各国立大学が導入した新年俸制度の実態を明らかにするため,昨年度に続き事例として選んだ4つの国立大学給与担当部署に対して,遠隔会議システムを用いた聞き取り調査を行った.調査項目は①新年俸制導入の経緯,②旧年俸制との違い,③月給制と比べた場合の(新)年俸制のメリハリの付け方,④業績評価,⑤他大学の状況の大きく5点である.このうち中心となる関心事項は③であるが,下記の通り大学によって様々であった. 第1に,外形的にいわゆる業績給に相当する部分の仕組みが異なる.月給制における勤勉手当のように年2回支給する大学もあれば,1/12ずつ毎月支給する年俸本体に組み込む大学もある.評価区分によって反映される差額を比率によって算出する大学もあれば,定まった金額としている大学もある.「基本年俸」の定義も異なるし,「業績給」「業績評価給」など定義も名称も異なる. 第2に,メリハリの実際について,具体的な数値で比較することは困難だが,おおよそ月給制と比較してみた場合にも,一様ではなかった.給与総額にしめる業績給の割合が比較的高く,業績評価の結果によっては標準を下回る業績給が支給されるような,メリハリを付けた大学がある.その場合でも,下位区分の人数割合を定めている大学もあれば,評価区分ごとの人数割合を定めない大学もある.後者の場合,財源を工夫して確保できれば,マイナスの処遇者を生むという厄介ごとを回避することも可能だ.また,それ以前に,業績給を導入しながらメリハリの付け方は月給制とあまり変わらない制度設計としている大学もあった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では上記の機関を対象とした調査と併行して,教員を対象とした質問紙調査を実施することとしていたが,以下の理由により未実施である. 第1に,各国立大学が導入した新年俸制度の実態が思いのほか多様であったことから,機関間の違いに影響を受けない質問文の作成に一層の検討が必要となったため. 第2に,組織論の知見を学習し直すにつれ,分析枠組みの微調整をどこまで行うべきか,さらに時間をかけて検討すべきと判断したため. 第3に,別の研究プロジェクトの結果をアウトプット,論文化することに相当のエフォートを費やしてしまったため.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では機関対象調査と教員対象調査を行う. 前者について,選定した事例への聞き取り調査とこれを踏まえた簡易な質問紙調査によって各国立大学が導入した新年俸制度の実態を網羅的に把握することを目指していたが,簡易な質問紙調査は馴染まないことが判明した.そこで,事例数を拡大して聞き取り調査を継続することで上記を達成する. 後者について,機関分類を踏まえて選んだ国立大学25大学に所属する,平均して各200名,計5,000人程度の教員を対象として,業績連動型給与をどう認識しているか,そして動機や業績はどのように変容しているか等を尋ねる.この際,調査・回答フォームはWeb上に準備し,IDを配布することで回答者を制御するとともに,所属大学が判明できるようにする.以上から作成したデータセットを分析し,前者の機関調査分析と合わせて成果を発表し,本研究の目的を達成する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国立大学25大学に所属する,平均して各200名,計5,000人程度の教員を対象とした質問紙調査を実施する計画だったが,質問紙作成の遅れにより遂行できなかったため. 今後は上記遂行にかかる経費を使用する.具体的には調査・回答フォームをWeb上に準備しIDを配布するため,調査支援サービス業者に発注する.
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