本研究では、わが国の大学において依然としてその形骸化・硬直化が叫ばれ、現場において窮屈なシステムとなっている単位制度について、その歴史的変容過程を把握しつつ学生が学び続けるための制度としての位置づけを明確にするとともに、教育のデジタライゼーションと呼ばれる新たな時代における大学の価値形成のための単位制度の創造を追究することを目的とした。 この目的を達成するために次の3つの研究課題を設定した。 (1)高等教育のユニバーサル化がなぜ学生の学びを多様にするか。(2)学びの多様化を保障する授業方式の在り方をどう考えるのか。(3)大学観の変容をどう理解し、そのための単位制度をどう創造するのか。 最終年度には、分析・考察の結果、今日の学修者本位の大学制度への転換方策として、次の4点を改革提言として提示した。 ①とくに共通教育や教養教育におけるカリキュラムの精選もしくは厳選をすること。②教育内容・方法を中心とした教授法を改善すること。③「教員の責任性」を含む現行の単位制度を弾力化し、質的要件を設定すること。④学修成果の獲得を含む卒業制度を見直すこと。 総じて、これまでの「教える単位制度」から「学ぶ単位制度」への転換が必要であることを強調した。
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