研究課題/領域番号 |
21K02665
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
深野 政之 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (40552758)
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研究分担者 |
光本 滋 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10333585)
飯野 勝則 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10449522)
林 透 金沢大学, 教学マネジメントセンター, 教授 (20582951)
菊池 芳明 横浜市立大学, 教育推進課, 学務准教授 (60347193)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大学職員 / メンバーシップ型雇用 / 役割モデル / 内発的改革 / 教職協働 |
研究実績の概要 |
新型コロナ感染防止のため海外現地調査ができなかったことにより.2021年度においては日本国内の大学職員の実態調査とともに,日本の労働環境,雇用のあり方に関する理論研究を行った.これまでの研究によって得られた検討結果は以下のとおりである. メンバーシップ型としての日本の大学職員の特徴として(1) 強い共同体性,(2) 専門性への忌避(総合職志向),(3) 強い独立性を持つ〈事務局〉への一元化,の3点を抽出した上で,かつて盛んに論じられたアメリカ型専門職モデルへの移行が実現していないのは,日本の大学職員が「メンバーシップ型」という,欧米では一般的な「ジョブ型」とは大きく異なる雇用労働システム下にあり,システム全体の差異,例えばその〈共同体性〉を無視して「ジョブ型」に移行することは,それが職員の内発的必要性に発するものでは無かったからである.日本の大学教員と職員の協働および職員間の協働では,明示的な役割分担・職務分担だけでなく,グレーゾーンの部分がどう担われているのかなど多くの部分が暗黙知により支えられている.したがって暗黙知の重要性を認識した上で,組織内の経験を継承・発展していく仕組みを構築することが重要かつ現実に求められている. ・2021年11月に大学教育学会課題研究集会においてポスター発表 ・2022年3月に大学評価学会全国総会において課題研究報告 日・韓・台の大学には採用や昇進などの点ではメンバーシップ型としての同質性が見られるものの,組織内部のあり方が異なることがメンバーシップにも影響を及ぼしているように思われる.日本の大学職員に対する新たな役割モデルを提言するには,さらなる現地調査と韓国・台湾の研究者・職員との研究交流が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年からの新型コロナ蔓延により予定していた海外現地調査ができなくなり,現地研究者とはオンラインによる研究交流を行っている.さらには国内における学会大会が中止またはオンライン開催となり,研究者,大学職員との対面での交流が難しくなっている. とはいえ本研究チーム間の意見交換と調査活動は,オンライン(Zoomとメール)を通して活発に進展しており,2021年度においては理論研究を大幅に充実させることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2021年3月に実施した前・科研研究計画の中間総括を踏まえ,海外現地調査の復活を念頭に置きつつも,オンラインによる海外研究者・大学職員との研究交流と調査活動を充実させることとする. 大学における教職協働と言うキーワードにおいて,職員の雇用のあり方と能力向上,職員の位置付け(日本の場合,職員が部長クラスや理事になるケースも少なくない)の違いによる大学ガバナンスの有り様などを国際比較して今後明らかにしていく必要もある.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ蔓延予防のため海外現地調査ができなかったためである. 2022年度においては海外研究者に調査報告書の執筆依頼(原稿謝金)およびその翻訳(業務委託費)に経費支出する予定である.
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